第74回紅白歌合戦を見たこと

紅白をようやく見返しました。
個々のパフォーマーについては旧Twitterにリアルタイムで入れた通りですが、改めて見返して思ったことを。


まず目に付いたのが、装置の立体造形がまた凝り始めたこと。
かつては鬼のような装置を各歌手の出番ごとに動かしていたものですが、LEDによる演出が使えるようになってからは、一時はバックほぼ全面LEDでそれにおよそ各シーンの演出を任せるという年もあったのですが、ここ数年また大型装置が復活してきていて、今回は可変式の段の装置が乃木坂とかYOSHIKIの時にかなりいい働きをしていた感もあって、やっぱりこういう方が気持ちいいです。

紅白で101スタジオにあそこまで観客を入れたことは過去記憶にないのですがありましたっけ。現在のファンダムの在り様を考えれば、ああいう形は正解だったと思います。
ただ、最高だったのは収録でしたがランちゃんの観客というか親衛隊。まだオタ芸もサイリウムもペンライトもなかった頃の先輩による応援最高。そして飛んできたテープを指に絡めて歌うランちゃんのアイドルっぷりったらもう。


一方、演歌勢は石川さゆり以外、歌手とか楽曲とかに信頼を置かれていないことが過去最強に露わになった印象。
結局演歌は「大阪ロケ」「NHKプラスの宣伝」「浅草ロケと芸人と曲途中にネタやツッコミ」「ドミノ」「JO1とBE:FIRSTのダンス」「けん玉」の方がむしろメイン。
水森かおりの「日向岬」トラック途中に「ピタゴラスイッチ」のメロをぶっこんできたことと、山内惠介の歌唱の際、歌の合い間に芸人のネタが入ることはギリギリよしとしても歌っている途中に芸人に対するツッコみが容赦なく被ってきた点については、割と本気で酷いと思いました。
が、もうそういう形にしなければショーとして成り立たせられないほど、演歌は窮しているということで。


有吉の司会は、「仕切らない司会」という割と前代未聞なスタイルだと思いました。全体的に番組の回しはおよそ橋本環奈の担当でしたし。
ただ、有吉自身の芸風が「インプットを受けてリアクションとしてのアウトプットを行う」スタイルなので、いきなり自分から率先してアウトプットから始めるという方に持っていくのは、それはそれで妙なことになりそうで、落しどころとしてはよかったんじゃないかと思います。


「BORDERLESS」がテーマの紅白でしたが、確かにそうなっていました。
国籍というか出身は、パフォーマーは日本人以外にも韓国・中国・米国・英国、石川さゆりの歌唱時に民俗楽器を弾いたウクライナ人。
ただ、それ以外にもいろいろそのテーマを感じる部分はありました。

YOSHIKIのステージは、ヴィジュアル系のジャンルとしての元祖的存在と、その同世代、少し下の世代、さらに下の世代が一斉に演奏していることに割とグッときましたし、そこにハイスタ難波が混じっている点も何となくボーダレス。

テレビ70周年企画で歌われたのは、テレビが圧倒的な最強メディアだった頃にベストテンで紹介されることで売上を伸ばした楽曲。そしてポケビ・ブラピはテレビが最強メディアであることを前提に「何位以下なら即解散」的な、番組をプロモーション装置として機能させた楽曲。
そして現在に続くテレビを主戦場にしている人たちと、全くもってテレビを必要としないままテレビメディアの代表格の番組に出場をしている人たち。
こういう人たちが一堂に会しているということもある意味ボーダレス。

そのボーダレスの真骨頂が「アイドル」だったわけですが、出演グループの彼ら彼女らが「それに出たい」と思ってもらえないとあそこまでにはならず、楽曲が世界的ヒットになったことで初めて可能になったことだとも思います。

「アイドル」の歌詞は皮肉なのに、そこに本物が出てくるのはどうよ、という声もありましたが、少なくともどうかしてるレベルでガチ恋な人以外のアイドルオタクは、あの程度の内容は折り込み済みで推してると思いますし、アイドル自身だってあのレベルで活躍できている人たちは、少なくとも表側では最強で無敵で一番星で全てを手に入れるくらいの気持ちでやっている人も多いでしょうし、自分は問題ないと思いました。

そこに、元々は国内の地下アイドル界でくすぶっていたのが、別々のコース経由で今の形で成功した、あのちゃんと橋本環奈という2人があの場で邂逅するというシーンを最後にぶっこんできた演出の人は、頭おかしいと心底思いますが。


最後に今回ものすごく気になってしまったこと。
朝ドラや大河の出演者を司会や審査員にしてその話をさせるということは過去からよくあることで、ここ数年前半後半の間のニュースのラストで「受信料」云々言い始めたのもだんだん慣れてきたし、今回の「カネオくん」についても、ノブが現場にいた方がいいと判断したのであればわかるし、「ビートDEトーヒ」もイクちゃんが可愛いので問題ないですし、純烈の「NHKプラス」大宣伝状態も純烈の皆さんがいいのであればいいですし、「アイドル」の冒頭に1/7放映のNHKスペシャルの告知テロップ出すのも別にいいのですが、何か関係者がみんな欲張りになっていませんか。


ということで、今日紅白の録画を見返しながらメモったことをだいたいこんな感じに書いてみたのですが、あんだけ紅白で「ディズニーメドレー!ミッキー!」みたいにおおいに盛り上げておいてからの、NHKが今日のニュースで浦安市の成人式を取り上げたとき「人気のキャラクターが登場して」とかすごく他人行儀だったの、付き合い始めたばっかりのカップルみたいでNHKのルールがよくわからない。