New Order「Substance」のこと

高校生だった自分が、初めて買ったCDがこの「Substance」でした。
リリースが発表され、その収録内容を見て、直ちに親に「そろそろCDプレーヤー買ってくれんか」と土下座をし、試験を頑張って何とか買ってもらうことになり、でもまだ実際プレーヤー買わないうちにこのCDだけは購入して待ち構えていたものでした。
これ、どうしてもCDを買わなければいけない理由があったのです。

そこまで「State Of The Nation」と「Bizarre Love Triangle」は12インチシングルで持っていましたが、それ以前も全部収録されて新曲も入っている盤が、LPは2枚組3500円か3800円で過去のシングルのA面曲12曲収録。片やCDは2枚組5000円でA面曲に加えてB面曲も収録されて24曲。
それ、CD買わないという選択肢はないじゃないですか。なので迷わず土下座したわけです。

で、今回CD4枚組で出た再発盤で改めて聴いて、「Substance」がNew Orderの本質にして名盤だと思ったわけです。

「Substance」までのNew Orderは、シングルとアルバムは別物というスタンスが割とはっきりしていて、オリジナルアルバムはそれはそれで愛聴しているものの、「これが名盤」というずば抜けたものは、自分にとっては正直ありませんでした。

片やシングルは、そのタイミングでのバンドの状況であったり手に入れた機材であったり、その時のこのバンドがダイレクトに反映されていて、だからこそそういうシングルを無造作に時系列に並べた「Substance」には、オリジナルアルバムでもないがベストアルバムでもない、独特の存在感があると、そう思えたのです。

このリリースから後、「Touched By The Hand Of God」「World In Motion」はシングルのみとしてのリリースですが、それ以降はアルバムのリードシングルとアルバムからのシングルカットという、他のバンドと同じような形になり、カップリングも別曲はなくてリミックスのみになったり。
だからもしこの後New Orderとしての「Substance」の続編が出たとしても、それは単なる「シングル集」としてしか捉えられないので、だったらもう盤で出さなくてもプレイリストでいいやという気持ちにもなります。

というか「Substance2」はJoy Divisionのコンピとして何か違う感じで既にリリースされていますし、「Substance III」「Substance V」というタイトルのアルバムはZIN-SAY(電気グルーヴの前身)が勝手にリリースしていますので、混乱を避けるためにもシングル集でもいいからNew Orderが次をリリースする際には「Substance IV」でお願いしたいと思います。