2021年ブックオフオンライン年間ランキングのこと

日本最強に地獄度の高い年間ランキング、2021年版が出てまいりましたので紹介します。

2021年ブックオフオンライン年間ランキング(CD)

過去からのランキングを一覧にしたのがこちら。

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2013年以降、ジャンルごとのランク付けになったりとかもありましたが、2016年以降は単純なベスト20が発表されていますので見やすくなりました。そしてこの10年近く上位に登場するアルバムがほとんど変わっていません。
相変わらず1990年代半ば以降2000年代までにリリースされた有名ミュージシャンのベストアルバムが、買って売ってを繰り返してグルグル回っているだけの悲惨なランキングではあるのですが、ただ今年は特筆すべき出来事が。

過去ランキングを追えた2013年まで遡っても、「2010年以降にリリースされたオリジナル・アルバム」がベスト20以内にランクインしたのは、宇多田ヒカルの「Fantome」だけだったのですが、今年は藤井風の「HELP EVER HURT NEVER」・米津玄師の「STRAY SHEEP」と、一気に2作が入りました。

確かにどちらのアルバムも程よくメディアで紹介されていましたし、特に藤井風の場合は素性がよくわからんので即新品を買うというところまで腹を括れず、とりあえず安く入手できる形で買ってみるというアクションになったのでは、という推測はできるのですが、2019年以前にもそういうミュージシャンが全くいなかったわけでもなく、正直明確な理由はわかりません。
近所の店舗がガンガン減って、生活圏では新譜も中古も買えないという人も増えているでしょうから、だったらどっちもボタン押すだけですから中古盤に抵抗がない人であればそりゃ安い中古の方を選ぶよね、という理由とかもあるかもしれん。

で、ミスチルのベスト2作のうち「1992-1995」の方が売れていたり「Atomic Heart」がランクインしたり、ユーミンやスピッツは最近の方のベストではなく過去の方のベストが上位に来ていることから察することができるのは、これ「ミスチルのベスト盤が欲しい」ではなくもっと明確に「聴きたい曲」があってそれを手に入れられればOKというマインドになっている人が一層増えているのでは、ということですが、何となく2013年以降今年まで徐々にそういう傾向が強まっているような、「聴きたい」の幅がどんどん狭まってきているような気も、しなくはないです。

そもそもあれだけ馬鹿みたいにCDが売れていた時代の方が異常っちゃ異常だったわけですし、さらにサブスクもCDが売れなくなった理由ではありますが、相当数の人にとって「音楽の有り様」が変わってきているというのも、あるんじゃないかと思います。