集団行動の3rdアルバム「SUPER MUSIC」がリリースされたので聴いてみました。
初めて相対性理論を聴いた時の衝撃は、いろんな音楽聴いてきた中でも相当に上の方でした。フックだらけのメロディーにフックだらけではあるけれど何の意味もない歌詞。「何なんこれ」という言葉しか出てこない、極めて言語化しにくいのに音楽としてひたすらポップでひたすらユニークな。
ただ、メンバーのインタビューではメンバー全員で作詞作曲しているという声はあるものの、真部&西浦脱退後の相対性理論は少なくとも自分の中では以前ほど面白くなくなったのは間違いなくて。
その真部&西浦が集団行動としてデビュー音源出してきた時は、大変にクオリティー高いことはわかるし、相対性理論と同じことやってても仕方ないしなあという気持ちはあっても、何かどっか「もうちょっとこう、どうにかならんもんか」と思う部分もあり。
それが今回、アルバムから先行でYouTubeにリリックビデオが公開された「ザ・クレーター」を見た時、ようやく「これこれ、そういうの」と思える音が出てきたと、それはそれは嬉しかったものですが、アルバムを通して聴いてみると、また全体的なトーンはその感覚とは異なっていて、でも今度はむしろいい方に。
「テレビジョン」は80年代の日本のテクノポップとか、「皇居ランナー」はハードロックとか、今回の収録曲の相当には「テーマ」的なものを設定して作られているような気がするんですけど、そういうところが見えつつも、でも結局はどんどんそこから逸脱していってしまう、その様が途轍もなく面白い。
で、そういう作りなのでアルバム全体がこれまでになく音楽として豊かで、でもただ「バラエティに富んだ」だけならアルバムとしてどうよ、ということになるのですが、彼らの場合はこのメロディーと歌詞があれば何をどうやっても一貫性は出てきてしまうので問題なし。
齋藤さんのヴォーカルもどんどん「入れる」ところと「抜く」ところの勘所がシャープになってきてすごくいい。こんな歌詞ですからすごい歌唱力でエモーショナルに歌い上げるとただの馬鹿にしかならないわけですが、それでも曲毎の表情の差異であるとか、メロディのフックに寄り添うような感じとか、なかなか気持ちのよい感じになっていて。
去年の5月にライブ観たときは、正直「これなら音源聴いてりゃいいかな(齋藤さんのご尊顔を拝めること以外)」と思ったのですが、これ是非またライブ観たくなってきました。