・・・・・・・・・「『  』」のこと

・・・・・・・・・ / 『  』(Album)

読めねえ。グループ名もアルバムタイトルも読めねえ。というか特定の読み方は公式からもどこからも提示されていないので、勝手に好きなように読めばいい状態。
アイドルグループではありますが、ライブでもメンバーの目元は常に帯状の物体で隠され、各メンバーの名前も非公表。接触イベントで話すことによってようやく彼女たちのパーソナルに触れられる、という形で活動しています。

運営が「女の子の東京をつくろう!! プロジェクト」と自称していること、そして東京各地の地名や「DJポリス出動」「売れないミュージシャン」「あたし読モやってるんだぁ」等の「東京的」なフレーズの数々が散りばめられたアルバムジャケットから察するに、もうこれは単にアイドルグループの運営というよりは、彼女たちの活動全てが「都市東京を構成する人達の匿名性」をテーマにしたコンセプトアート的なものと解釈した方がよさげな感じではあるのですが、今回初のフルアルバム、意外なまでに真っ当なポップアルバムとして出てまいりました。

基本はシューゲイザー的なフィードバックノイズを多用したバンドサウンドなのですが、メロディがきちんとしているのでとても聴きやすく、ちゃんとアイドルの音楽として鳴っている。時折ノイズレスな曲だったり打ち込みパキパキの曲もありますが、アルバムの和を乱すようなこともなく、正味トータルとしてすごく聴きやすくていい。

現状動員も右肩上がりで、2月には東京キネマ倶楽部でワンマンがあります。が、やはり今後が心配なのです。
そういう音楽性のまま続けて本当にいいのか、ある程度手持ちを出したこの段階で次の大きなビジョンはあるのか、そもそもそんな匿名性バリバリの状態でメンバーのモチベーションはどう維持されているのか、今はいいかもしれないけど将来的に結構下がりそうな気がするが大丈夫か。
そういうふうに気になってしまうのも、もしかして運営の狙い通りか。やっぱりわけがわからない。