ねこね、こねこね。@下北沢近松のライブのこと

本日は、ねこね、こねこね。@下北沢近松。
4バンド出演、初々しさしかないガールズ3ピース、格好は完全に渋谷系なのに何故かシューゲイザーな音を出す4人組、めちゃくちゃうまいしかっこいい音なんだけどメンバー全員致命的に華とMCスキルがない4人組を堪能してからの、お目当て。

「ことばの海」で衝撃を受けて、それ以前の音源も全部買って聴いてみたのですが、確かに「ことばの海」はこのバンド的には一大冒険であったことはとてもよくわかる。ただそれでも一貫して変わっていない部分は「感情の見えなさ」。
オノマトペを多用し、歌詞だけ読んだらとても楽しそうなのに、曲に乗るとそれが全くもって「陽」の方向に向かっていない。それはフロントのえりかちゃんが書くメジャーなんだかマイナーなんだかよくわからないメロディのせいか、オノマトペも含めて誰も励まさないし誰も愛さないし誰の人生にも影響を与える気がない歌詞のせいか。
どこにも感情の発露も、メッセージも見当たらない、ただ鳴らされるだけのポップス。これはとてもとても貴重な音楽です。

過去の何かに似ているような気がして考えていたのですが、アンコールで披露された未音源化曲の冒頭のシーケンスで気が付きました。インストのポストロックだ。アイスランドのポストロックバンドにmumというのがいるのですが、多分それに一番近い。音そのものではなく、その聴き手の感情に何も委ねてなさ加減が。リスナーの「共感」による好意にまったくおもねる気配がないところが。

その前のバンドの男の子が「僕なんかが言うことではないんだけど」とか前置きしつつ人生訓のようなMCを延々と話し続けた後で、これ。結果としてすごい皮肉になっているのですが、多分バンドの全員無自覚。
とにかく、日本の他のバンドにはないポテンシャルがあるバンドだということがわかりました。このままで馬鹿みたいに売れてくれたら、日本は少しでも変わるかもしれない。
たとえ本日の動員60名程度だとしてもだ。彼女たちには世の中を変えるかもしれないだけの力はあるのだと、信じたいのです。