6月9日はTheピーズ@日本武道館。
2014年1月の怒髪天から始まり、2015年12月のフラワーカンパニーズ、2017年1月のザ・コレクターズに続くおっさんバンド初武道館シリーズ、ソールドアウト。4回とも過半数は同じ人なんじゃないかと思ったりもしますが、何はともあれ。
彼らくらい、少しでも知っている人ならそのドラマ紆余曲折を他人に語りたくなるバンドもいないと思うし、そもそも1989年に面白がってデビューアルバム2枚を聴き、それ以降も音源は追ってきたのですが、正直あんなコミックソングまがいの曲で出てきたバンドが30年経って今ここにいるなんて思いもしないわけですよ。
そしてこの30年正味世間一般的に「売れた」「話題になった」ことが一度もなかったバンドが日本武道館なんて、そしてソールドアウトになるなんて。
でもステージに立ったハルとアビさんを見て、一番それを信じられなくて浮付いているのが当のバンドメンバー自身であるということが面白いくらいよくわかりました。奇声を発し馬鹿みたいなことをずっと言い続けているハル、始めから終わりまでずっと満面の笑みだったアビさん。
あんなわかりやすくどん底を見たバンドが、それでもやめられなくて結局続けて30年きたんだよ。たまにはこういうこともあっていいんじゃないかと。
「シニタイヤツハシネ」を東スタンド、南スタンド、西スタンド、アリーナで1小節ずつ歌うとか、もうそんなのここ以外ではありえない。何で敢えてその曲でそれをやらせるのかという点では非常に彼ららしくはあっても。
とてつもなくフワフワして、とてつもなくハッピーな3時間。あんなグシャグシャな糞のような内面を歌ったはずの楽曲群がもう聴いていて楽しくてたまらない。きっとメンバーも演っていて楽しくてたまらない。
付き合ってくれた女子と終わってからお酒飲んでいたとき、彼女から「結婚披露宴みたいな空気でしたね」と言われて我が意を得た気がしました。それだ。
人生で最高にハッピーな宴の場でただ彼らの一挙手一投足を見守る。彼らが楽しかったら俺らも楽しくて、彼らが感極まったら俺らも感極まる。これまでの彼らを振り返り、これからの彼らの幸せを願う。ただそういう場。
そしてそういう場だからこそ本編ラストの「生きのばし」やダブルアンコールラストの「グライダー」の歌詞が染みる。敢えてそういう場所にそういう曲持ってきやがった。こんなん泣くわ。
そういう、もう絶対に一生味わうことのできない感慨にふけった夜でした。
で、たぶん彼らは次にツアーやったら相変わらず千葉LOOKとかなんですよ。でもそれでいいんだと思う。