Visual Japan Summitは失敗フェスなのかということ

先日、「失敗フェスマニア」の称号をいただきました。通常汚名とも言いますが、返上するだけの材料に乏しいため、称号と言い張ることにします。
で、今回のVisual Japan Summitは成功なのか失敗なのかというとこれ非常に難しい。というのは、こんな状況前代未聞なんですよ。

通常の「失敗フェス」は概ね3種類に分けられます。
 1.天候によるもの(代表例:第1回フジロック)
 2.運営の不手際・準備不足によるもの(代表例:2007ライジングサンにおけるトイレ難民)
 3.単なる動員不足(代表例:第1回JAPAN JAM)
 *.運営の不手際、動員不足、客のマナーの合わせ技=ウドーフェス

今回の制作はウドー音楽事務所でしたが、正直すごくよくできていたと思います。もちろんフード&ドリンクやトイレの不足等、ツッコミどころはあります。が、そもそも非常に限られたスペースの中で動員は3日間合計10万人目標。スポンサーは大事にしなければいけない。
そういう制約の中では、ユーティリティはそれしかないというレベルのセッティングだと思いました。
特に、通常通路として使うスペースを、ビッグネームが並ぶ頃には客も相当フロアに入って単純な往来は減るであろう所を見越して、その通路部分にまで客を入れて全体をひとつのライブエリアとして使うというのは、金一封あげたいくらいのアイデアだと思いました。

そして天候もよくっていうか屋内だし、動員も全日ソールド・アウト。
ただひとつだけ大問題だったのは、タイムテーブルが無きに等しかったこと。本当にそれだけですが、それはフェスとしては致命的なところです。そしてそんな状況他のフェスでは経験したことがない。

こういう大型フェスは当然ですが全国から人が集まります。みんなタイムテーブルを見て会場までの足、帰宅の足を決め、必要な場合はその予約までしてやってきます。だからタイムテーブルは決まり次第速やかに出すべきだし、出したらその通りに進行しなくてはいけません。
お金出しているのはチケットだけにじゃない。ネタでも何でもなく「家に帰るまでがフェス」なんです。


今回毎日、タイムテーブル上の時間から最終的には1時間以上押しました。それも、他のバンドはおよそオンタイムでも、だいたい特定のひとつのバンドだけでそれだけ押す。フェスでそんなんありえないです。他の若いバンドには時間厳守で時間を越えたら強制的に幕が閉まるなんてことをしながら、自分たちは平気で何十分も開演を押し、普通にやるだけでも確実に時間オーバーなセットリストを組んで、しかも途中のMCやらコールアンドレスポンスやらで更に時間を使い。

どれだけの人が後ろ髪引かれる思いで最後まで観ずに会場を後にしたか。どれだけの人が終電を逃して特に女の子はリスクを負ったか。ていうか、俺だってジーン・シモンズもyukihiroも観たかったよ。でも終電なくなるんだよ。
いや、最悪ワンマンライブでそれはまだいいよ。そういうもんだとファンも思ってくれる。でもフェスはあなた方のファンだけが集まるんじゃない。出てくるだけのバンドのファンが1か所に集い、そしてあなた方のファン以外の人があなた方を観たいと思ってできる限り残ってくれている。すごいことじゃないですか。フェスならではの素晴らしい状況ですよ。でも、あなた方はその気持ちに対して、そういう行動で返しました。


それでも来てくれた子はいい子たちが多いです。Twitter見てる分には呪いの言葉はほとんどなく、「残念だけど」とか「もう少し観たかったけど」と言って途中で帰ってるんですよ。予約した帰りの足があるから。そういう子たちに対して何も思わないのなら、もう金輪際フェスなんてやるなよと。自分たちのファンに対してだけやりたいようにやれよと思います。

あのGuns'n'Rosesだってフェスの時はオンタイムでやるんですよ。つうか、あなた方もサマソニの時はきっちりオンタイムで始めてオンタイムで終わったよね。契約があったらその通りするけど、契約になかったらそれってことでしょうか。あんまりですよ。ライブ自体は本当に素晴らしかっただけに。もう。


と、言いたいことは3日間全く同じセットリストって何よとかまだありますけど、でも、私が参加したのは初日だけですがライブは概ね全部素晴らしかったです。ベテラン勢の腰の据わったところも、若いバンドのここで傷跡を残したいという必死の思いも。
初見で一番心震えたのはNOCTURNAL BLOODLUST。何あのかっこいいの。本当に素晴らしかった。問題があるとすれば、彼らを他人に伝えるとき「半裸で血まみれのマッチョが口でいろんな変わった音を出すバンド」としか説明のしようがないところです。

トゥーマッチな客いじりとトゥーマッチなトークが冴えるHEROは「時間厳守で時間を越えたら強制的に幕が閉まる」ルールを逆手にとって、演奏中に幕が閉まったら笑えておいしいという、それバンドじゃなくて芸人だろというところに突っ込もうとしたものの、2分オーバー程度では幕は閉まらず涙を飲んだわけですが、翌日同じ事務所のFEST VAINQUEURが遂に「演奏中に幕が閉まる」をやってのけ、彼らは大阪のバンドゆえに「おいしい」ところを持っていったわけでありまして、おめでとうございます。
つうか事前にスタッフに「閉めてくださいね!」ってお願いしてると思います。

でも一番はやっぱりLUNA SEA。観るたびに毎度言ってますけど、見た目全力出してる感全くないのに出てる音は他のほとんどのバンドの全力を軽く凌駕している感じは何なんだろう。で、初日も本当に素晴らしかったのだけど、日曜のセットリスト見て本当にこれ生で観たかったと思う。馬鹿じゃねえのと思うレベルの名曲連打。

その他、場として、ライブとしては本当に楽しかったんですよ。これまであまり入り乱れることがなかった各バンド間、特にV系のオリジネイター勢と若いバンド勢の垣根を取っ払ったというか、少なくとも風通しはよくなったはずで、そういう意味で歴史的なイベントであることは間違いないんです。
だからこそ、きっちりオンタイムで進行していればなあと思いながら振り出しに戻る。

<追記>
VIP席に関してのあれこれは確かに運営側は酷かったです。ただ会場の図面固まる前に料金プラン出さねばならず、悶絶するほどの葛藤の末のあれだったという流れも何となく透けて見えます。ダメだけど。