TAMTAM「newpoesy」のこと

TAMTAM / newpoesy (Album)

これ大好きだ。
2年前の前作は、それ以前は一介のダブバンドだったところから一気に飛躍を遂げ「ダブに従うのではなくダブを従えた音」だと思うレベルだったのですが、従うものがなくなって先はそりゃもうさらに自由にしかならない。

前作ではギターバンド的なエッジ感を大々的に導入することでしがらみを振り切ったはずなのに、今作ではもうそのエッジ感はどこにもなく、かといって戻ったわけでもなく、更にダブ本体から飛び抜けた地点でひたすらポップに鳴っている。正味そこここでクラムボンあたりとの近似値すら感じられるレベルで。
ただそこは「ダブ出身」であることの矜持はきっちり押さえていて、このメロディーでそのベースラインかよ的なところとか、やっぱりそういう感じでミックスしてる箇所あるよな的なところとか、何よりも圧倒的に奥行きのある音像処理とか、ダブそのものではなくてもダブを経由することで圧倒的に他のバンドと違っている。

アルバムのピークは8曲目「星雲ヒッチハイク」。派手な瞬間なんかこれっぽっちもないんだけど、少しずつ音を重ねながら徐々に上がっていく、音楽としてのカタルシスだらけの7分間。もう本当できるだけたくさんの人に聴いてほしい。

ただ一点、文句を言うとすれば、こんな収録曲ちょっとずつしか聴けないトレーラーしかYouTubeにないってどういうことなの。そんな「着うた(サビVersion)」みたいな形でコンビニエンスに伝わる類の音じゃないでしょうに。確かに「星雲ヒッチハイク」のそこは一番気持ちいいところなんだけど、それはそこまでの4分50秒があるからこそ最強に気持ちいいんじゃないですか。

メジャーから外れたわけですし、お金かけてMV作れとは申しませんが、でもあなた方の音楽は1曲30秒じゃ伝わらないです。でも伝わったらまたYouTubeで聴けばいいやで済むレベルの音楽でもないです。本当に頑張ってプロモーションしてください。できるだけ多くの人に聴いてもらうべき音楽だと思うので。本当に。

<追記>
Soundcloudに2曲、別MIXですがあると教えてもらいました。是非に聴いてみてください。