3年ほど前に、東京23区内に残る「街のレコード屋」全43店舗の写真を並べてみたのですが、3年経ってまた改めて巡ってみました。
すみません、中野の文化堂に付いては実際はクラシックやSP盤の専門店だったのを誤認しておりました。今回外して42店舗。
■中央区:ミヤコ銀座店(東京メトロ銀座駅):2013年12月閉店
三原橋の地下街・商店街ごと撤去。
■港区:東京堂(JR新橋駅):2015年9月閉店
改装し、一時は右の青い丸いテントの幅分のみの小さな店舗で経営を継続していたのですが、先日そこも閉店。
■世田谷区:ピエス・マキ(東急松陰神社前駅):不明
敷地一帯が建て替え工事中。建て替え後復活するかどうかはわからない。
■世田谷区:コヤマ(京王千歳烏山駅):2014年頃閉店
路面から近隣のマンションの一室に移転しましたがその後閉店。
■北区:詩音堂(JR赤羽駅):営業中
営業開始が午後3時からに短縮。訪問時開店前。
■台東区:宮田レコード新仲店(東武浅草駅):2015年8月頃閉店
■墨田区:光音堂スペースジャム(東武押上駅):2013年5月閉店
■足立区:ミュージックショップ演歌星(東武大師前駅):営業中
■足立区:Fronte.Wonder Music Store(東武竹ノ塚駅):2012年頃閉店
■江戸川区:アオヤマ(都営地下鉄一之江駅):不明
土曜日の午後の段階で開店していないこの状態。
以上、営業中32店、閉店8店、不明2店。正直、まだ行けそうな気がしたところが潰れてる感あり。新橋の東京堂、銀座のミヤコが逝ったあたりで所謂「都心」で営業している個人経営店は消滅したと言っていいでしょう。
ただ、実は小さな店がつぶれた分、大型チェーン店なんかはまだ出店を続けておりまして、感触レベルではCD店の総床面積は過去と今とさして変わっていません。
たとえば東京都で言えば、稲城市に一昨年できた超巨大複合書店コーチャンフォーのCD売場だけで、商店街の個人経営店数十店舗分の床面積があるわけで。閉店の理由にはもちろんCDが売れなくなったということもありますが、他の小売りと同様に「大型店への集約化」もこれ大きな理由でありまして。
なので、他ジャンルも一応扱いつつ、ここの「街のレコード屋」の半数以上が「演歌専門店」みたいになっているのは、商店街の中で一番まだ元気があるのが「おしゃれブティック」的なおばあちゃん向け服飾店、つまり大手資本が本気出してカバーしてこないところの需要を支えている店であるのと同様であり、こういう「セレクトショップ」化は必然なのであろうなあ、と。
それでも、赤羽の美声堂、亀戸の天盛堂、小岩の音曲堂、東十条のダンあたりの演歌に対する本気度はハンパなく、美声堂なんかは歌手の方が来た時にはさして広くない店舗の棚をどけてパイプ椅子並べてミニコンサートとかやっちゃいますから。そしてその後は歌手の方が直接即売。当然買ってくれたら握手付き。券なんかいらないの、こういう場合。
それでも80年代アイドルのキャンペーンはだいたいそんな感じでどこでもやっていたわけで、それが今アイドルの方だけこうなっているのは、AKB的な方法は細かく店舗単位でちまちま売って回るのではなくレーベル単位で一括集約して運用を合理化した結果であり、要するに小売店が「大型店への集約化」に向かったのとベクトルはだいたい同じ。