2015年の10枚、邦楽の5枚。

WANIMA /Are You Coming?
僕らの時代にはブルーハーツがいて、一回り下の世代にはハイスタがいて、そのさらに下にはモンパチや10-FEETがいて。でもそれ以降は様々な形のラウド系バンドも多々出てきて多様化を極め、その世代を代表するようなパンクバンドはもう出てこないのかとも思っていたんだけど、出てきた。彼らは本当に今のティーンをして「俺らのバンド」になれるのかもしれないと思う。
恐ろしく簡潔なのに他の誰にも真似できない独特のノリと大声で青い歌詞を叫んでしまえるセンス。2015年はPIZZA OF DEATHと契約してフェスに出まくってその評判を高めまくって、それだけでアルバムを週間チャート4位にまでぶっこんでくる。2014年の末にはO-WESTでライブやってて、それが今年2月のツアーファイナルはZepp DiverCity。もっとでかくなれ。


ペトロールズ / Renaissance
VIVA LA ROCKで観た時には芳しい客入りではなかったけれど、でもこういうノリを若い者にわかられまくってもそれはちょっと困るので仕方がない。ミニマル感を感じるほどにぐるぐる回しながら徐々に高まっていく螺旋状のグルーヴ。日本はこういうのがドカンと受ける素地はほとんどなく、それでもというかだからこそというか気味が悪いほどのマイペースで活動を続け楽曲をライブで磨きに磨き、10年目にして初のフルアルバム。悪いはずがないでしょう。


米津玄師 / Bremen
ニコ動出身のミュージシャンにありがちな、恐らく電波系アニソンを源流に持つチャカチャカしたリズムがいまいち好きになれず、でもたとえばキュウソネコカミなんかの、そこらの影響確実に受けつつでも開き直りとも言えるソングライティングでもってぶっ飛ばしていくのはどうしても嫌いになれず、そんな中で米津玄師は前作まではまだ多少残っていたニコ動ノリに対して、開き直るのではなく完全に払拭して王道のバンドサウンドに近いところに寄せてくるという大仕事を確実にこなしているところにグッとくる。それでも密室感は健在で、メロディのスケールはでかいのにどこかしかほの暗さは感じるという、なかなか他にいない立ち位置に到達。きっとこれからが面白い。


チャットモンチー / 共鳴
前作から好きで好きで可愛くて可愛くてたまらないのですが、多分そういう人他にも多くて武道館は行けなかった。悔しい。
2人だけのあの不器用だけど逞しかったライブから、現在は男組・女組2種のサポートを受け、かつ相変わらず2人体制もありつつ、でもまったくブレてない今作。何て言ったらいいか「どこまでもオルタナティブであり続け、その姿勢とそれによって生まれる音が評価されるメジャーのバンド」って、実は今の日本ほとんどいないんじゃないかと思うのです。今日本一のオルタナティブ・バンドは彼女達です。


ゆるめるモ! / YOU ARE THE WORLD
12月20日に答え合わせしてもらったから自信をもって言います。これはアイドルのアルバムではなく、日本のポストパンク/ニューウェイブ史上に残すべき名作。
いいんだよ。女の子が歌うニューウェイブアルバムなんて他にもあるから。Bow Wow Wowのアナベラだってデビュー時14歳だし、立花ハジメだってLow Powersで中学生の女の子をヴォーカルに起用していたし、コズミック・インベンションとかも。だから全然問題ないんだよ。

前半は前作から微妙だが着実に進化という感じで進むんだけど、中盤からバンドが生でしかも本気で演ることを前提にして制作された強力かつ異質な楽曲群が並びはじめ、1曲ごとにいちいちぶっ飛び始める。結果最終曲「Only You」にたどり着く頃には日本のバンドのほとんどが不可能なレベルの狂騒を盤に封じ込めるに至る。いわんやそれを生で演奏した時の爆発力たるや。本当に12月20日のライブの本編ラストは少なくとも2015年に自分が観た全てのライブの頂点でした。アイドルだからとか言ってる場合じゃないんすよ。ヤバい音が聴きたかったらここにあるから。
12月20日の中でも最強の8分40秒を切り取った動画が上がっていたのでそれを。正味ライブ中ほとんどの曲は13人編成もいらなくて、2人のドラムなんかライブ中およそ代わりばんこに叩いていた状況だけど、でも本当にこの「Only You」だけは13人どうしても必要なんです。完全にこの瞬間にフォーカスして集まってるバンドと、それに乗っけられて暴走するメンバーと、またそれに煽られて高まっていく会場と。ちなみにこれはミックスしてありますが実際には楽器の音この倍はでかかったです。