New Order / Music Complete (Album)

少なくとも21世紀になってからの彼らのアルバムの中では図抜けて最強。
「名曲あれども名アルバムなし」というのが私にとってのNew Orderへの印象で、正味そんなにいいメロディ書くバンドではないわけです。Blue MondayにしろConfusionにしろ、メロディだけ取ったら大したことなくて、でも彼ら独特の曲の構成が異常にキャッチーな間を作り、それでもって名曲になってしまっている。んで、たまにすげえいいメロディ書いて、それが彼ら独特の構成にハマった時にTrue FaithとかBizzare Love Triangleとかの大名曲になる。

そういう意味では今回は「大名曲」なし。ラス曲「Superheated」がいいところ行ってんだけど、メロウに流れ過ぎて彼らならではのアレンジからちょっと離れてしまってる。それでも「彼ら独特なキャッチーな構成」を持っている曲が大変に多く、大変に楽しい。
M-1リードトラックの「Restless」はもう「型通りのNew Order」をきちんとやってオールドファンを納得させておいて、80年代ニューウェイヴな始まりっぷりから90年代的テクノにすっ飛んでいくM-2、21世紀版「Fine Time」みたいなM-4、Duran Duranみたいだと思ったら90年代ハウスなピアノ入ってきて笑うM-5、また型通りのNew Order来て、こいつら未だにアナログアルバムのB面1曲めみたいな気持ちじゃないんだろうかと思うM-7、ケミカル・ブラザーズのおかげで一番はっちゃけているM-9。アルバム通してとても楽しい。
考えてみたら1993年の「Republic」も結局「Regret」一発のアルバムだったし、ということは、アルバム全体ここまで楽しく聴けたNew Orderは26年ぶりということじゃないか。長くやってりゃいいこともある。
ということで、2001年のフジと2012年のサマソニは観ています。求む単独来日公演。

で、結局New Orderで一番好きな曲は何よと問われれば、映画「Salvation」のサントラにデモ状態のインスト曲として収録され、その後「Best Of New Order」がリリースされた際に元々「True Faith」のカップリングだった「1963」がリニューアルされてA面曲としてシングルリリースされた際、カップリングとして完全版が収録されたという面倒臭い曲「Let's Go」ということになるのです。New Order節全開のメロ、適当なギターと歌うベース、どこからどう聴いても完璧なNew Order
そのカップリング以外では、ベスト盤「International」のフランス盤とBOX「Retro」にしか収録されてないと思う。しかしYouTubeで検索してみたところ、1985年にインスト状態で披露された際の映像が上がっていて、それが失禁もののかっこよさ。やっぱこいつらすげえなあ、と。ヒゲ反省して戻ってこないかなあ。