8月15-16日は毎度のサマソニ
今年は何か決め手に欠けるなあと思いつつもやっぱりどこかには行かないと落ち着かないので。

決め手に欠ける理由は極めて簡単で、一昨年のCindy Lauper⇒Earth, Wind And FirePet Shop Boysみたいなわかりやすいお年寄り向けメニューが皆無だったため。そこらに響くのがマニックスとCASTだけというのはあんまり弱い。
これは結局フジもそうなんですけど、今のフェス界で動員をかけるには邦楽のフェス受けするバンドを連れてくるしかなく、その枠の確保のためにお年寄りが邪険にされたわけです。お年寄りいじめです。まあ、それでも行っちゃうんですけど。

結局、邦楽で見たことないバンドも観つつSONICあたりの洋楽若手を中心に観ていったのですが、正直イマイチなのばかりで。
いろんなタイプとはいえ、クリエイティブマンやホステスのフィルターを通ってきているのばかりなので、結果としてやっぱりPassion PitっぽいのとVampire Weekendっぽいのと、そこら辺適当に混ぜたような奴が多く、それだったら日本の若手の尖ったの観た方がいいわけで。
イマイチなの多かったので一個一個の言及は避けますが、ぼちぼち気になったの拾っていくと。


<15日>
SLAVESはギターとドラムが2人組で勢いに任せてガッキンガッキンやる奴。
Green Dayっぽいのとかハイスタっぽいのから派生していった音はどんどん強度薄まり「それパンクでも何でもないがな」というのが洋の東西増えているわけですが、バンドとかのスタイル無視してファックファック言いながらこういうでかい音出しているイビツなユニットの方が実際ずっとパンクっぽいと思った。

KODALINEは、こういうのアメリカには多いけど日本にはいないタイプだとつくづく思う。メロとかスピードとかじゃなく、スケール感で上げていくタイプのバンド。別に大して変わった編成でもなく奇をてらったところもないんだけど、できる。食ってるもんの違いでしょうか。

日本の初見のandrop、RADWINMPSはまあ、おっさんには必要ない音ですが、よくできているとは思う。やっぱ年齢が近い分だけMONOEYESが染みる。CDをiTunesに突っ込んだ時ジャンルに「パンク」って出てきたけど、中にはけっこう凝った曲もあり、それをいかにもさらっと簡単に演っているように見せているわけで、これパンクではないよなと思う。
細美くんは8月9日のROCK IN JAPANでのMCでいきなり原爆の話を始めて主にドン引きさせ、その後必死にごめんごめんと謝っていたと聞きまして、終戦日には何を言い出すかと思っていたところ、お盆の茄子の話しかしなくてほっとするやら残念やら。が、ノンポリフェスの最高峰であるサマソニだからそれでいいと思った。フジロックみたいなのは他に任せておけばいい。まあ、今回はMONOEYESでスコットもいるからあんまりそっちぶっ込めない。

トリはManic Street Preachers。観るのは多分1999年の今は亡き舞浜NKホール公演以来。
NMEで「暗いアルバム」1位に選ばれた「Holy Bible」再現ライブ。が、意外に普通にすっと入ってきた。つうかこのバンドはどこまでも不器用なくせにどこまでも誠実で、それだけで30年近くやってるというアホみたいなバンドで、もう本当に観ていて誠実さが伝わってきてこちらはそれを見守るみたいな。でもそれで何か満足してしまう。
13曲全部アルバム曲順通りにやり切った後は「You Love Us」。何ですかそのサービス業としての大正解。オーラスはみんな大好き「Motorcycle Emptiness」。あの破天荒だったはずの1stアルバムにこの曲が入ってる時点で、やっぱあの時からずっと誠実だったのだと思うよ。


<16日>
千葉市内に宿を取ったので余裕で10時前に会場入り、せっかくなんでオープニングのあゆみくりかまきから、冷やかすつもりで観に行ったら、昨年はSIDE SHOW STAGEからの今年マウンテン、そして彼女たちの後はGenerationsのため女の子ファンが既に相当数最前列を固めているという、圧倒的アウェイの中で、完全に場を引っくり返す鬼気迫るレベルのとてつもないパフォーマンスを見せつけられる。アイドルのライブでここまで直接心に来たのは、かまってちゃんとのツーマンの際のももクロ以来かもしれない。一切の贔屓目なし、掛け値なしに素晴らしかった。

その後はいまいちフィット感あるものがないままずるずる午後を過ぎ。
でもMan With A Mission今まで観る機会がなくて初見だったんだけど、そりゃまあパンクからハードロックから打ち込みまでありとあらゆる「盛り上がる」ブツをぶっ込んだ音をああいうパフォーマンスで演ったらそりゃアガるわなとすごく納得した。
あと、MODESTEPも感心した。人力ダブステップ。そりゃ盛り上がるわ。間違いない。

で、結局今回チケット購入を決めたのは、郷ひろみの出演がコールされたときであり、もう間違いなく素晴らしいだろうと思って行ったら予想以上でたまげる。ゴールドフィンガー始まり、お嫁サンバも男の子女の子もハウメニーいい顔もやって二億四千万終わり。
ゴールドフィンガーは日本国民の大多数がサビの振付まで知っているという国民的アンセムであり、二億四千万は日本国民の大多数が曲のどこでコールを入れればいいか知っているという国民的アンセム。そんな持ち歌複数持っている日本人が一体他のどこにいるというのか。
ほぼ休むことなくアゲ曲を投下し続けた彼もすごい。最後なんかステージ上ダッシュしまくって帰って行ったもの。化け物ですよあれ。

その余韻のままBEACH STAGEでKing ALL STARS。加山雄三先生です。ギターにシアターブルックのタイジとコレクターズの古市コータロー、ベースはウエノコウジ、ドラムが武藤昭平という、年寄りの老後の趣味レベルを遥かに逸脱したメンバー。演るのは概ねオールディーズですが、まあこのメンツで鳴らすわけですから、それがもうガレージパンクのように響いてくる。ヤバいブツ。夏だからBEACHとか言ってる場合じゃねえ。これ地下室の音だよ。
モンパチのキヨサクとスチャダラパーもゲストで出てきていろいろ楽しかったのですが、でもアンコールでやったアグレッシブめの「君といつまでも」も素晴らしかった。フェスはこういうのを観るのが楽しい。

で、メッセに戻ってD'Angelo。正味、ファレルかMEWか迷ったのですが、単純に「次の来日の可能性の順」に並べた場合、圧倒的にD'Angeloという解しか出てこずそのレア度だけで選んだようなものだったのですが、度胆抜かれた。
もっとストイックかと思っていたらもうこれ超弩級の一大ファンク祭りじゃないですか。きっちりJBとか過去からのステージマナーも押さえつつ、彼の素晴らしいナンバーがとてつもない演奏に乗って繰り出される。いちいち「すげえ…」か「うあー!」しか出てこない。フロアの反応もすこぶる良く、D'Angeloもそれに乗っかって本当に気持ちよく演っているように見えて、もういろいろ楽しくて仕方なかった。


結果として全体のアベレージイマイチでもMONOEYESマニックスあゆみくりかまき郷ひろみと若大将とD'Angeloで十分に元を取った気持ちになれて気分よく帰りました。やっぱフェスは楽しいですね。
D'Angeloのステージ、ブツきりだけど公式Twitterアカウントで出てます。