3/1-2はBABYMETAL@日本武道館
持ち歌全15曲のアイドルが武道館2DAYSで2日とも別内容、という時点で企画する側はどうかしてるわけですが、それでもそれだけの勢いがあることは間違いなく。初めてのワンマンが2012年10月のShibuya O-EAST。それ以降こんな感じですよ。

2012年10月 Shibuya O-EAST
2012年12月 赤坂BLITZ
2013年02月 Zepp TOKYO
2013年05月 Zepp DiverCity TOKYO(2DAYS)+大阪BIG CAT
2013年06月 NHKホール
2013年12月 幕張メッセ イベントホール
2014年03月 日本武道館(2DAYS)

何だこの勢い。
その武道館2DAYS。そりゃあんた15曲しかないんだもの曲目ほとんど変えようがないのですが、それでも2日間それぞれきっちり演出作り込んで見せてくるんですからすごいです。ショーとして2日間文句のつけようがないレベルの出来でした。

70年代のスリーヤンキース、80年代のスターボーあたりを皮切りに、いくつか「コンセプトアイドル」と呼べるグループが現れましたがいずれも商業的には惨敗。ここまでの最大の成功例は風男塾あたりかと思いますが、それを軽く塗り替える最大の成功事例となりました。

ポピュラーミュージックの中では最も「非日常性」の高いメタル、そしてアイドル。考えてみれば親和性間違いなく高いのですが、これまでこのレベルのものが出てこなかったのは制作側にその両方を跨いでコントロールできるブレインがいなかったせいか。それをきっちりマニアも納得できるレベルの演奏をバックに仕立て、がっちり世界観を作り込むことで、面白半分で覗きに来た連中を片っ端からその世界に引きずり込むだけのコンセプトが出来上がった、ということなのではないかと。
実際アレンジはどっちかっつったら「デジロック」的だったり「ヘヴィロック」的なものが多く、曲や演出の引用元もQUEENがあったりRAMONESがあったりで、正直メタルかと言われれば極めて微妙なのですが、ブラックメタル的世界観を引用してハマっちゃったもんだから、あとはもうそれっぽければ何でもありということで。実際その振れ幅の分だけ音楽としては豊かになってるんだから文句などありません。

実際会場も完全に「アイドル」として彼女たちを捉えている古参が集まるアリーナと「引きずり込まれ」組の多いスタンド席では随分空気感異なり、特にアンコールの際には下の方では「アンコール!アンコール!」と口で言う「アイドル」スタイルな一方、上の方は手拍子というなかなか見られない光景。アリーナ見てると、ロミオを打った直後にモッシュサークルに飛び込む等のハイブリッドなオタ諸兄も多く見られ、それも非常に趣深いものでございました。

で、そのコンセプトはさくら学院の「部活」としての単発楽曲として登場した際のリアクションが異常に良かったあたりでもう制作側としてはおよそ出来上がっていたものと思われます。そうでなければTOYS FACTORY、さくら学院本体はユニヴァーサルにくれてやったものの、BABYMETALの契約だけはそのまま継続するなんて裏技使いませんもの。
初音源「ド・キ・ド・キ☆モーニング」の初出が2011年4月、で、2011年の10月にはさくら学院のユニヴァーサル移籍&BABYMETAL残留が決まっているわけですから、まあそういうタイムライン。
で、今回の武道館で一旦国内活動は休止、世界に打って出る模様。まだみんな中高生ですし、2人はさくら学院でもありますので、ゴリゴリのワールドツアーとかではないのでしょうけど。

ここから先は1日目にステージから派手に落下したYUIMETALが無事だったから言えるのですが。
もとより彼女たちはX JAPANからの引用ネタが非常に多いわけで。
今回のライブタイトル「赤い夜」「黒い夜」はX JAPANの「青い夜」「白い夜」がネタ元。
SU-METALが「紅月(あかつき)」を歌う前に「紅月だーっ!」と叫ぶのはアレ。
1日目に首用のコルセット配っていたのは、メタルでコルセットってYOSHIKIしかないわけで。

で、1日目の晩同行した友人たちと飲んでいて、YOSHIKIも「青い夜」「白い夜」のリハの時ステージから落下してたし、YUIちゃんのあれももしかしたら演出なのではないか、という不謹慎極まりないトークがこっそり飯田橋の地下で行われていたのですが、まあ実際落下の瞬間そんな感じではなかったし、2日目に会場入ったら前日にはなかったステージ周りの柵が完備されていたのを見ていたく反省した次第です。
ていうか、実際には落ちる瞬間見たらもうそっから先は心配で、3人復帰した直後にMOAちゃん転んだときも声出たし、今日も靴紐直すためにかがんだ時点でちょっとドキドキしていた、本当は小心者です。

あと、2日目本日は隣に私より多少年上くらいのおじさんがいらっしゃって、何言ってるか聞き取れないくらいにずーっとブツブツ何か呟いていてちょっと不気味だったのですが、ライブ後半盛り上がるにつれて、おじさんの呟きも微妙にテンションが上がっていることがわかり、少し嬉しくなりました。