世の中で何が嫌いかって「バラード・ベスト・アルバム」。
何の制作上の意図もない、「ベスト」と銘打つことのできるアルバムの数を増やし、売上を稼ぐためだけの糞企画。中にはかなり無理矢理感のある「それちょっとテンポがミドルなだけで全然バラードちゃうやん」みたいのまで数合わせに収録されていたり、何かもうよくわかんないですし。
著名なミュージシャンがそういうの出すにつけ日本で最初のそういうスタイルのアルバムである「バラッド」を出したサザンオールスターズは大罪を犯したとも思えてくるのですが、でも当時の彼らは、一部勝手に出されたカセットのみのベスト盤はあるものの、本人たちの意思としては「ベストアルバム」を出すことには強硬に反対していて、レーベル側との折衝の結果「ベスト」の代わりに「バラードのコンピ盤」、しかもカセットのみ発売という落とし所で合意してのああいうアルバムであり、少なくとも当初は「ベスト」の濫発という目的とは真逆の状況だったわけで。

何にせよこういう濫発は長期的に見ればミュージシャン生命を左右しかねないとも思うのですが、まあ当面のご飯のために今はそうでもしなくちゃやっていけないちゅうことでしょう。辛気臭い世の中ですね。

    • -

AKB48はインディーズからSONY在籍時までは比較的普通にアイドルソングだったのが、キングへの移籍以降少なくともシングルは男目線の歌詞の曲ばかりになっている、という例の話。2012年分追加して表を改訂しました。
というのも大異変があったものですから。

発売日タイトル主格
AKS
2006.02桜の花びらたち
2006.06スカート、ひらり
DefSTAR
2006.10会いたかった?(2人称「君」)
2007.01制服が邪魔をする
2007.04軽蔑していた愛情
2007.07BINGO!
2007.08僕の太陽
2007.10夕陽を見ているか??(2人称「君」)
2008.01ロマンス、イラネ
2008.02桜の花びらたち2008
■KING RECORDS
2008.10大声ダイヤモンド
2009.0310年桜
2009.06涙サプライズ!
2009.08言い訳Maybe
2009.10RIVER?(2人称「君」)
2010.02桜の栞?(人称なし)
2010.05ポニーテールとシュシュ
2010.08ヘビーローテーション
2010.10Beginner
2010.12チャンスの順番?(2人称「君」)
2011.02桜の木になろう
2011.05Everyday、カチューシャ
2011.08フライングゲット
2011.10風は吹いている
2011.12上からマリコ
2012.02GIVE ME FIVE!?(口調は男)
2012.05真夏のSounds good!
2012.08ギンガムチェック
2012.10UZA?(口調は男)
2012.12永遠プレッシャー
これまで通り、1人称「僕」であれば男、1人称「私」の場合は女とし、1人称が出てこない場合は「?」としつつなんか臭い所がある場合は注記入れてるという形ですが、遂に12月の「永遠プレッシャー」がキング移籍以来初の完全女視点のシングル楽曲となりました。
しかも「何であの人がこんな冴えない私のことを」または「冴えない人と言われるけれどそれでも私はあの人が好き」型、つまり秋元康の定石というか得意技である「卑下LOVE」シリーズをここで敢えて持ってきて、コテコテのアイドルソングに仕立ててまいりました。
「じゃんけん選抜」ソングは第1回めはじゃんけん選抜の存在が前提となっている「チャンスの順番」、第2回めは優勝者篠田に完全当て書きの「上からマリコ」と来て、今回は一瞬随分普通な曲かなとも思いましたが、それでもこの歌詞と楽曲全体の出来は、AKB内でもひときわガーリーな空気を持っている島崎遥香を意識した結果の、多分にエクストラ的位置付けのこういう曲ということで間違いないんじゃないでしょうか。少なくともぱるるオタにとっては何杯でもいけそうな歌詞ではないかと思います。おめでとうございます。