10/1はTOMORA@東京ガーデンシアター。

TOMORAはノルウェーのシンガーAuroraさんと、The Chemical Brothersの片割れTomさんのユニットです。
以前から日本のシンガーmiletさんは、頭がおかしいサウンドクリエイターと組んで、頭がおかしいアルバムを作るべきだと強弁してきましたが、Auroraさんにも同様の気持ちを持っていました。
稀有な音色を奏でることができる「声」というインストゥルメントをもっと破天荒に使用してほしいというか、それができればまた聴いたことのない音楽が聴けるというか。
たとえばBjorkさんは、世界一自分の「声」というインストゥルメントとしての希少性を破天荒に使用されている方だと思っています。
miletさんについては、2022年のサマーソニックのKula Shakerのステージに飛び入りして、「Govinda」を歌唱したのを聴けたときに、多少溜飲が下がった感はありまして、次はAuroraさんだと思ったら、このユニットの結成の報。Tomさんは「頭おかしい」タイプではないですが、でも通常を遥かに超えて「破天荒」にはなるだろうと期待をしておりまして。
果たしてアルバム「Come Closer」は音源としては十分に満足できる出来になっていましたが、こうなるとライブが観たい。でもそのためだけにフジロックは金銭的に厳しい、辛い。と思っていたら間を空けずに単独ライブ。そりゃ行くさ。行くとも。
ただ、本当にギリギリまでライブ告知は行われていて、あんまり入りがよくないのかとドキドキしながら入場したところ、ガーデンシアターの3段あるバルコニー席のうち、一番上の段は完全に布で覆われていて無人。ただし、そこより下はだいたい盛況という状況で、体感的にはあまり辛くならない感じの状況。
前座のDJ女子は、テクノ/エレクトロ系を中心にしつつ、ところどころにThe Chemical Brothers楽曲をぶっこんできて、いい感じにあっためてくれたところにTomさん登場。
「Ring The Alarm」だとわかった頃にAuroraさん登場、と思ったら、白いミニスカートに遠目からはルーズソックスにも見えないこともないファーのブーツを身につけた女性2人が飛び込んできて、割ときちんと「振り付け」を始める。
片方はAuroraさんなんですけど、もう一人は「Amalieさん」であると少し後に紹介されました。
サポートメンバーですが、もう完全に3人目の主役状態。
音源が相当にAuroraさんの声を多重録音されたブツであり、それを正しくライブ表現するという方向で考えると、これはすごく正しいと思いました。
本当にAuroraさんとAmalieさんは踊り跳ねまわり走りまわる。
もうそれですごくライブとして楽しいのですが、2人の声が音源以上にトラックと一体化して、総体として聴こえてくる音としての気持ちよさもエゲツない。
MCではAuroraさんが一生懸命日本語を話そうとして、一通り覚えたのを話し終えて満足したのか「んー、やったー!」と言うのも、途中でわからなくなって袖まで走っていってスタッフに確認しに行くのもずるいくらい可愛い。
振り付けとカワイイとガキガキのトラック。
ガチ本気の楽曲派アイドルデュオのライブを観ているような気持ちになってくる。すごくいい。
そして、これはフジロックの時にもやっていたみたいですが、心から感心したのがステージを映すカメラの存在。
通常、大規模なライブでステージをリアルタイムで大画面に映写する際、ステージ後方の表示領域までカメラの撮影範囲に入ってしまうと、鏡写しのように何重にも表示されてしまうわけで、通常のリアルタイム表示では「いかに鏡写しの状況を避けるか」に腐心しているきらいもあるわけですが、このライブでは真逆でした。
正面にステージに向けられた固定カメラがあり、リアルタイムの表示はそれが完全にメイン。
当然「鏡写し」状況は発生するのですが、照明を工夫したり更にリアルタイムにエフェクトをかけたりすることで、「鏡写しをかっこよく見せる」ことに成功。



成功というか、それがあることでよりライブが映えるような、そういうところにまで持ってきている。
これには割と本気で感動したし、これからのスタンダードにもなりえるのではないかと思った次第。
ということで、通常の「来日公演」とは相当に異なる感動をいただきました。
やっぱライブはいろいろ観た方がいい。無限に金が欲しい。