TM NETWORKの40周年トリビュートアルバムのこと

TM NETWORKの40周年記念のトリビュートアルバムを、きちんと盤で買いました。

こういうトリビュートアルバム、カバーアルバムの類は、ここ十数年割とお手軽にあまりお金かけることなくリリースされることが多くなっていて、数曲いいのはあっても全体としては何だかなあというものが多いですが、これは違います。

さすが「周年」を冠したアルバムだけあって、各曲ともお金をかけて丁寧に制作されていることがわかりますし、別のトリビュート系アルバムには割とよくある「とりあえずヒット曲並べとけ」という感じはなく、きちんと担当ミュージシャンに違和感なくハマる楽曲を選択していることもあって、非常に聴きごたえのあるアルバムになっています。
以下各曲。

01. SEVEN DAYS WAR / GREe4N BOYZ
確かに彼らがTMの曲をやるとすればこれだという気持ち。ただ、従来の彼らのトレードマーク的歌唱であるところの「4人同時発声」がほぼない。改名してまず新機軸を多くの人に聴かせたかったのか。

02. Self Control / CAPSULE
途中で申し訳程度に不協和音等ぶっこんでいますが、Aメロを元曲通りスタッカート気味に歌うこしじまさん含めびっくりするほど捻っていないというか、どこまでも元曲の空気感ママ。これは単純にヤスタカがTM好きすぎなんだと思う。

03. Get Wild / B'z
これも譜面的にはかなり元曲に近く、ほとんど元曲の空気感は壊していないのですが、何せ稲葉が圧倒的に稲葉らしく歌い叫び、松本が圧倒的に松本らしく弾きまくるので、もうそれだけで完全に別物。最高と言うしかない。2人以外のバックトラックは中田ヤスタカ制作。この組み合わせも最高。

04. BEYOND THE TIME / 澤野弘之 feat. SennaRin
小室影響度が相当高いはずのアニソン界隈から唯一の参画ですが、SennaRinの歌唱力を借りて圧倒的な「歌モノ」としての存在感。楽曲としての完成度は一番じゃないかと思います。

05. Maria Club / ヒャダイン with DJ KOO
リミックス楽曲。ヒャダインの思考的にこのトリビュートアルバムの中での「トンチキ」枠を狙った感のある出来。それでもやっぱりTM好きすぎてあんまり無茶はできなかったような空気もある、愛おしい感じの感触。

06. BE TOGETHER / 乃木坂46
アイドルがやるならこの曲というのはとても理解できるし、鈴木亜美よりも更にアイドル的なアレンジでこれはこれで好ましく聴けるのですが、既定路線過ぎるのが残念。櫻坂46に「RESISTANCE」やってほしい。

07. LOVE TRAIN / 西川貴教
ずっぱまり過ぎてむしろ面白くなっている。もう完全に西川さんの曲じゃないですか。

08. Human System / 松任谷由実 with SKYE
SKYEというのは鈴木茂、小原礼、林立夫、松任谷正隆ですから、このメンツがTMの曲をやってるというだけでもう面白いのですが、この曲にブラス入れてくるという発想はなかった。ユーミンが歌うことを前提に完全に再構成された、プロの仕事です。

09. TIMEMACHINE / 坂本美雨
TMのデビュー期には存在していて、でも録音されたのは昨年といういわば「幻の曲」を、割と強火のTMオタである美雨さんが歌うのはもう必然かもしれません。アレンジの奥行き感も割とガチ。というか本当に美しいアレンジです。

10. STILL LOVE HER / くるり
そもそもメンツの中に彼らが入っていることに大変に違和感はあったのですが、ただいざ聴くと岸田のVo.のしっくり感にビビる。確かにこの曲はTMの楽曲の中では朴訥感高いメロなので、これは慧眼の選曲。

11. ELECTRIC PROPHET / 満島ひかり
ミニアルバム「Twinkle Night」収録で8分半ある、古参ファンの皆様にいたく愛されている楽曲を、きちんと8分半使って再現するという贅沢さよ。元曲の語りっぽい部分がガチの女優にかかると本当に「演劇感」がバキバキに発揮されていてむしろ恐ろしい。


このアルバム概ねサブスクでも聴けるのですが、Apple Musicでは少なくとも今のところはGREe4N BOYZとB'zはアルバムの流れでは聴けない仕様。
で、盤はオリジナル曲が収録されたCDとの2枚組で1枚物よりはお高め。元曲と聴き比べられるのはいいことなのですが、でもねえ。