Q-pitch「悲しみ、苦しみ、綺麗。」のこと

アイドルグループQ-pitchの2枚目のアルバム。全曲の作詞作曲をたむらぱんが手掛けています。

たむらぱんについては、デビュー時より天才だ天才だと推してきたわけですが、結果として2014年以降本人名義でのリリースはなく。それでも各所に楽曲を提供していて、私立恵比寿中学の「誘惑したいや」「感情電車」、THE IDOLM@STERの「あいくるしい」といった名曲を輩出してきたわけです。

そんな彼女が全面的に楽曲提供するアイドルグループができたと聞いて、喜び勇んで2017年1stアルバムを買い求めて聴いたところ、微妙に肩透かしを食らうわけです。楽曲がぜんぜんたむらぱんらしくねえ。
そりゃオーダーがあればそっち寄せるだろうし、ある程度はわかるんですけど、これならたむらぱんに依頼する意味ねえじゃんというレベルで、5曲目までは。しかし8曲入りの6-8曲目の3曲は見事な田村節であり、何とか留飲を下げました。

それから約2年。メンバーの入れ替わりもあり、方向性についての迷いもあり。ようやく今の路線になっての2枚目のアルバム。完璧な田村節を堪能できます。
前アルバムから3曲を再録しているのですが、当然のように6-8曲目。何の違和感もありません。そして恐らく歌詞の方も相当制約が外れたのでしょう、ベタな恋愛ソングは相当に減り、全体的にジュブナイル的な空気も感じるようになりました。

たむらぱん楽曲の特徴のひとつとして、謎の楽曲構成というものがあります。
普通のJ-POP的な楽曲であれば「Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→サビ→Cメロ→サビ」という流れがよくあるパターンですが、例えば「感情電車」は「C'メロ→Aメロ→Bメロ→サビ→A'メロ→サビ→Cメロ→サビ」という形、たむらぱん名義の「責めないデイ」だと「Aメロ→Bメロ→サビ→Bメロ→A'メロ→サビ」という頭おかしい構造になっているわけです。
Q-pitchではそんな「田村構成」は抑えめになっていますが、それでもサビメロの1フレーズを「何でそこ入るねん」というところにぶっこんできたり、「田村感」はそこここで感じることができます。

正味、今のQ-pitchの「アイドルロック」という路線、いろいろな試行錯誤の結果そこというのは認識していますし、ライブのその場での盛り上がりを考えると、エビ中のたむらぱん楽曲が必ずしもそういう感じでないように、必ずしも相性がいいとは思わないのですが、でもグループとしてそういう方針で行くというのならそれでいい。
とにかく、売れてほしい。そしてたむらぱんを潤してほしいです。