というわけで改めて紅白歌合戦の件。
一旦、去年から今年のINとOUTを確認してから。
<IN>
aiko
あいみょん
いきものがかり
DAOKO
松任谷由実
MISIA
EXILE
King & Prince
Suchmos
純烈
DA PUMP
宮本浩次
YOSHIKI feat. HYDE
<OUT>
AI
E-girls
市川由紀乃
倉木麻衣
SHISHAMO
高橋真梨子
松たか子
X JAPAN
エレファントカシマシ
竹原ピストル
TOKIO
トータス松本
平井堅
福田こうへい
WANIMA
正味、正規の出場という形ではなくても安室・桑田を揃えた昨年と比べると弱い。YOSHIKI feat. HYDEと松任谷由実という、可能な範囲での目玉を紅白揃えましたが、好きな方にはたまらなくても一般的訴求力はどうしても。
それでも、ちゃんと昨年勢いがあったものの今年は落ち着いたというのがいなくなった分、今年勢いのある人たちはそれなりに連れてこれている。本当に「できることはした」感のある布陣です。
いきものがかりはこの11月に「集牧」したわけですが、確かにこういう場があるわけですから1月や2月に再開よりはこっちのタイミングの方がおいしい。今のところテレビ番組での演奏は発表されておらず、この紅白が再始動後初となると話題にはできそうです。
菅田将暉くん、米津玄師くんは連れて来れませんでしたが、DAOKO、あいみょんあたりを引っ張ってきたのは英断かと思います。
DAOKOは普通に出るんじゃないかと思っていましたが、あいみょんは大抜擢感があります。彼女の場合、今の人気の上から順で選んだというよりは、紅白という場でパフォーマンスさせたら彼女を聴いたことない若い子たちには相当バズると思いますので、そういう要員ではないかと思います。
気になるのはSuchmosがどの曲をやるのか。NHK的には「VOLT-AGE」以外あり得ないのですが、あのNHKスポーツテーマ曲史上最も高揚感のないあの曲をやるのか、やっぱ「STAY TUNE」やった方が絶対いいと思うのだけど、「紅白スペシャルメドレー」みたいな例の手法は、彼らの美学的にはどうなのか。ドキドキします。
演歌の売れてなくても必ずいた「名誉出場者」はここ数年でほとんどいなくなり、SMAPもいないし、今回は先日のアレのせいでしょう、TOKIOも消えた。その分空いた枠に恐縮することなくキンプリぶっ込んでくるジャニーズ事務所のしたたかさは素敵です。
で、演歌の件をもう少し突っ込んで。
まず出場者全体の中での演歌枠数はこんな感じ。
2003[紅:11/31 白:10/31]
2004[紅:10/30 白:09/28]
2005[紅:09/31 白:10/31]
2006[紅:11/27 白:09/27]
2007[紅:10/31 白:08/27]
2008[紅:09/26 白:08/27]
2009[紅:08/25 白:08/25]
2010[紅:08/22 白:05/22]
2011[紅:08/25 白:06/25]
2012[紅:07/25 白:05/25]
2013[紅:07/25 白:06/26]
2014[紅:07/27 白:05/24]
2015[紅:07/26 白:06/26]
2016[紅:07/23 白:05/23]
2017[紅:07/23 白:05/23]
2018[紅:06/22 白:05/22]
今年は全体の出場者数が最小タイ記録ですが、そこで女子が一つ削られて、市川由紀乃があぶれてしまいました。白組の方は枠は昨年と同じですが、福田こうへいOUTの純烈IN。
防弾少年団が出場取り消しになって純烈が入ったのではないか、みたいな話が聞こえてきますが、この演歌枠を考えるとそうではないような気もします。
以下、今年の演歌ジャンル内でのCD売上枚数上位10人と、紅白出場歌手の一覧。
紅組 | 売上(順位) | 白組 | 売上(順位) | |
---|---|---|---|---|
水森かおり | 69,100(8) | 氷川きよし | 110,000(4) | |
市川由紀乃 | 57,400(15) | 山内惠介 | 90,700(4) | |
杜このみ | 43,200(19) | 純烈 | 81,000(8) | |
丘みどり | 43,200(19) | 福田こうへい | 53,400(11) | |
岩佐美咲 | 20,800(11) | 竹島宏 | 49,000(20) | |
天童よしみ | 17,500(29) | 三山ひろし | 46,900(12) | |
椎名佐千子 | 15,800(44) | 北島兄弟 | 22,700(24) | |
葵かを里 | 13,900(25) | 北山たけし | 19,000(15) | |
島津亜矢 | 13,700(28) | パク・ジュニョン | 12,200(26) | |
大月みやこ | 12,500(22) | 五木ひろし | 11,900(23) | |
石川さゆり | 5,600(43) | |||
坂本冬美 | 4,300(55) |
演歌については、過去延々続いてきたベテラン勢の「名誉出場」が減少した結果、比較的実際の売上や現状での人気ベースでの選出が多くなってきたのですが、その流れでは間違いなく今年純烈はOKライン越えました。
というか純烈、売れない30代の役者が事故で入院した時の夢枕に内山田洋とクールファイブが出てきたのでムード歌謡コーラスグループを結成することを思い立ち、一度デビューしたものの2年で契約を打ち切られ、それでも歌う場所を求めた結果スーパー銭湯にたどり着き、逆に「スーパー銭湯の貴公子」的にテレビに取り上げられるようになって徐々にに人気を博してのデビュー11年後の快挙。
もう映画化していいと思うレベル。恐らく紅白でもそういう浪花節的なところ全開で来ることでしょう。でも彼らならそれでいい。
市川由紀乃 vs 丘みどりについては今回何故丘さんが勝ったのかはわかりませんが、美人としての取っ付きやすさは丘さんの方が上かもしれません。
気になるのは五木ひろし。
前々から申し上げている通り、彼は毎年原則その年にリリースされた楽曲を歌唱していて、作家さんが亡くなった際の追悼としてその方の楽曲を歌う時と、長野五輪の年に大トリで「千曲川」歌った時以外は1回しか過去曲を出してこない、流行歌手としての矜持のようなものを持っているのですが、さすがに近年「流行」しなくなってまいりました。
順位としては去年からオリコン20位内に入れなくなり、売上枚数としても遂に今年2万枚を大きく割り込んできました。今後、どう身を振っていくのか。過去曲を求められるまま歌うか、流行歌を歌えないなら出場を諦めるのか、どっちにしろ相当に腹を括らないとできない非常にキツい状況。
歌唱力は今も抜群なだけに、何とかもう一発くらい当ててほしいのですが、例によって今は完全にジャンルごとにファン層が分かれてしまい、嗜好性の外にある音楽に接する機会は失われている時代、「老人」のイメージが付いてしまった演歌に新たに多くのファン層が流入することも考えにくい。
あれですね、「老人」のイメージが付いてしまったが故に、流行当時老人ではなかった人が老人になったときに、「老人臭いから」と忌避して新規流入が先細り、国内競技人口が激減してしまったゲートボールに近いですね。
私は演歌は時々聴きますが、小学生の時にみんなでゴロ野球やらドッジボールやらやっていた広場にある日老人たちがドカドカと入り込んできて、「ここはゲートボール場になるから出ていけ」と言われて追い出されて以来、ゲートボールは絶対に一生やらないと心に決めています。