BiSH@幕張ライブと「勝ち上がるアイドル」のこと

22日土曜はBiSH@幕張メッセイベントホール。
過去に2度ほどイベントで観てますが、単独は初めて。というか、過去の最大規模がZepp・日比谷野音クラスで今回この規模ですから明らかに「お祭り」です。そういうのはできる限り観ておけということで。

正味、BiSは全く刺さらなかったんですよ。あのプロモーションの悪食っぷりというか炎上で認知上げに行くやりかたがどうにも腑に落ちず。
BiSHについても最初はその流れと思っていたので全く興味なかったのですが、それでもアイドルが集まるイベントに行ったら出るっちゅうんでせっかくだし一度くらい観ておくかと思って観たら思いの外よくて。
本当に真面目に取り組んでいることがわかり、今まで無視していてごめんなさいという気持ちに。かつその前に観たのがギュウ農フェスで、リフトやモッシュがNGルールになった後、ピンチケ系やらかし集団にリフトされてしまい無念の途中終了だったため、一度きちんと見ておこうという気持ちもあり。

まさかの前売りソールドアウト。正直絶対無理だと思っていたので驚きつつ現地に向かうと、女の子多め、若い子多め、他のそういう大規模ライブではありえないレベルで圧倒的にBiSHのTシャツ着ている人の割合が多め。BABYMETALの武道館の時レベル。
夏休みで若い子が動きやすいというのもあるかもしれないのですが、全国から猛者が集まってきた感ありありの公称7,000名。

そんなですから「オーケストラ」始まりという意表を突くスタートからそりゃもう会場中どっかんどっかん沸くわけです。おもしろいくらいに。会場中の相当な割合が振りやら合いの手も心得ていて、私の置いてけぼられ感ハンパない。
それでも楽しく時にグッと来ながら観られたわけで、具体的な内容はナタリーの異様に詳細なレポートに任せるとして、やっぱこの規模にまで勝ち抜けるグループになったのだなということはすごくよくわかりました。

死ぬほどハードな楽曲じゃない。闇雲に煽ったりするわけでもない。むしろ運営はリフト・モッシュ・ダイブを厳禁にして諫めにかかっている。それでもこれだけアガる。メッセイベントホールの全体まで完全に自分たちの空気で埋め尽くす。
言ってしまえば、今日本で一番エモい楽曲群を、日本で一番エモく表現できるのが彼女たちなんだろうなと。そりゃ強いですよ。

で、何となくアイドルグループの勝ち上がりパターンというのも見えてきたような気がして。
アリーナクラスまで来た子たちをざっと見ていくと、ある程度の共通項があります。
特に大手事務所の所属ではないまま解散ライブではない状況でこのレベルまで上がってきたのは仮面女子・でんぱ組について3番目。正直仮面女子については本人たちもファン層も全く把握できていないので、もしかしたらブレてるかもしれないんですけど。

1)女子を巻き込むこと
今回見た限り男女比率7:3に近いくらいだったんですよ。滅茶苦茶女子多い、しかも若い。ここ数年全国の女子大がすごい勢いで男子も受け入れて総合大学化していますが、それと一緒でハナから男子しか当てにしないというのは顧客候補の半分自ら放棄しているようなもので。
なので正味「王道アイドル」とか自称しているグループは上に行こうとするとやっぱ辛いのではないでしょうか。

2)メンバーのチームとしての一体感

今回、アンコールのトークで本当にメンバー相互がそれぞれ認め合っている感というのがわかって非常にほっこりしたのですが、考えてみれば本編のMCで相互にDISりあう茶番も披露されていて、それって本当に楽屋で微妙な仲だったら絶対できないことじゃないですか。
今やいろいろ難しそうになってしまったでんぱ組も、一番勢いのあったときの「チーム」感ものすごかったわけですし。

3)上昇志向
私、プライベートでは上昇志向剥き出しの方とは概ね面白いくらい馬が合わないのですが、ことアイドルグループに関してはやっぱ剥き出すくらいの勢いじゃないと困ってしまいます。そういう意味で今回のライブで一番響いたMCはリンリンの「今、過去の自分を見下せるようになりました。将来、この幕張メッセのステージに立っている自分を見下せるようになりたい」。そうでなきゃいけません。

4)他と差別化できる楽曲
でんぱ組が上の方に行って以降、面白いくらいフォロワー的なグループが増えて、さらにグループに一人は金髪がいてもいいことになったわけですが、たぶんこれ以降BiSHみたいなグループも増えてくるのだろうなと思います。ただ、でんぱ組の楽曲は少なくとも表層は真似しやすいですが、BiSH的な楽曲はこれ本当にきちんと曲書けないとダメなので、どの程度伝播していくかは未知数。

以上、たぶんこれくらい揃えていかないと、もう飽和しつつあるアイドルシーンでこれから先に上に行くのは難しいだろうなと思います。

で、BiSHのこういう上がり方を見ていると、復活したBiSの方がむしろ今後辛いだろうなと思わざるを得ず。プー・ルイがいなければBiSにはならないけれど、プー・ルイがいればもう絶対に彼女と他のメンバーのグループ内での立ち位置は異なりますから、今のBiSHのようなフラットに近い関係性のチームには決してなれんわけで、上記の「2)」が全くもって期待できないわけですよ。
それをどうクリアしていくかと考えれば、もうビジネス書の「マネージメントとは」みたいな話になってくるしかなく、もうそれ全然楽しくないし、その楽しくなさは確実に観ている方にも伝わるわけで。
いや、本当どうするんだろうBiS。