度重なる大物の起用でもって朝ドラのオープニングが大御所ミュージシャン専用枠っぽくなってまいりましたが、朝ドラは現状もっとも数字を取れるだけでなく、「専業主婦」という職業がもはやある年齢以下ではどんどん少数派となっているために、リアルタイムで一生懸命観る層が相当にゾーニングとしては明確化してきてまして、そしてそこの層は間違いなく「掘り起こせる」層であるということでしょう。
アラフォー以上の主婦層の多くは新しいミュージシャンを知ろうとする行動はあまり取らず、そもそも習慣として音楽を聴くことも既に激減しているわけでして、それでもかつてのCDバブル期に「CDを買う」という行動は他のどの層よりも普通に行っていた層ですので、その頃によく買っていた「よく知っている」ミュージシャンが今になってそういう枠でそういう層に対してリマインドを行っては新たなCD購入に結び付けましょう、できれば改めてファンになっていただきましょう、という方針には大変に合理性を感じます。
逆に言えば、どれだけの知名度があるミュージシャンであっても、もうそういうチャネルでもってセグメントされた層に当たっていかなければ真っ当なプロモーションとして成り立たない世の中ですということで。
そういう流れは別に音楽に限ったことでもないようで、たとえばプロ野球が必死になってWBCを改めて開催するのは、ただでさえ4大プロスポーツの中でも最強とは言えず、更にサッカー人気が上がってきていよいよ大変そうなアメリカ大リーグも含めて、そういうお祭りでもって世間を盛り上げていなかければならないということで世界的な方針が一致したということでしょうし、逆にJリーグがダゾーンとクローズドな契約結んだということは、もはやオープンな放送環境を使う必要は薄いという判断、さしてサッカーに興味がない層に対して認知を取るには日本代表以外のコンテンツは不要であり、Jリーグはむしろ固定層から確実に収入を得る形にした方がビジネスとしてはよろしいと日本サッカー協会が判断したということであり。
何にせよ、マスにブチ上げてドーン、というタイプのプロモーションの対費用効果はほとんどのスタイルのビジネスで既にもう割に合わんでしょうし、そもそも無理くりパワープッシュでぶち上げようとしたところで最終的には見透かされてシオシオになって終了、みたいな事例も散見される時代ですし。
何かマスの発信者側はまだ自らの力を信じている節も多分にあるように見受けられますが、そろそろ仕切り直さないと本腰入れて死ぬんじゃないかと割と本気で思います。