昨年ハロウィンについて、こういうことを書きましたが、「海外の人間が『それは違うんじゃね』というような物を食う習慣」が定着するまでのプロセスとして、まず「『それは違うんじゃね』というような業種がぶっこんでくる」ことが必須なわけですが、ぶっこんできました。ミツカンが。各業種の恐れを知らないチャレンジが新しい価値を生むのです。
-
- -
で、ハロウィン関連のライブイベントも増えてまいりまして、今回ハロシブに行って参りました。
こんな感じのタイムテーブル、EASTはダンス系アクト、CRESTは新進気鋭のバンド、NESTはアイドル系、WESTはよくわからないけど何か変なの集めた感じ、DUOは泡パーティーと、それぞれの会場の色があったわけですが、どれ観たいか順番付けてみたら、音源がえらいことになっていた校庭カメラガールとsora tob sakana、ライブがすごいと聞こえてきたStereo Tokyo、とある筋より観ておけと厳命されたあっこゴリラ、みたいな感じになったので、最初Crestで安頭観た以外はずっとnestに籠城。切腹ピストルズ(和楽器による大所帯パンクバンド)も観たかったんだけど、コウテカと被っちゃったから仕方ない。
唯一観たバンドの安頭(あんず)は、Vo&Gの男、Vo&Bの女、Drの男の3ピース、まんま凛として時雨とか高速系バンドとかっぽいところもあるんですけど、ただの二番煎じに留まらないセンスや軽やかさも併せ持っているなかなか良いバンド。フロントの男子はおかっぱ金髪メイクに、高円寺のエスニック雑貨屋で買ったような服と、非常にロケンローないでたちであった一方、女の子の方が最低限のメイクにワンピースと、どこかの女子大生か休日のOLみたいないでたちであり、そのギャップが大変に素敵。事務所に入ってそれなりのお金をかけてプロダクションとプロモーションすればきちんと売れるだけのポテンシャルがあるバンドだと思いました。
Stereo Tokyoは本当にすごかった。
所謂EDM系を扱うアイドルグループは通常、ロック系とかテクノ系とかと同様のジャンル分けのひとつとして「アゲる」ためのツールとしてEDMを用いているわけですが、Stereo Tokyoは実際のところはどうかわかりませんが感じた限り主従が逆、まずEDMカルチャーが先にあり、それに女の子たちが加担しているような具合にしか聴こえず、場も完全にクラブ的なノリに。そりゃアガるさ爆発的に。この日のnest、結局ゆるめるモ!以外全部観ましたが、その中では一番客が入り、盛り上がりました。それも当然という感じ。
sora tob sakanaは先日タワレコ限定のCDをリリースしたのですが、それがハンパない出来で。トラック担当は残響レーベルの脊髄骨折型変拍子バンド、ハイスイノナサの照井氏。まさかそこらへんの人までアイドル界隈に出張ってくるとは思わなかったので非常に驚いたのですが、異常な変拍子以外はほとんどバンドのサウンドまんま持ってくるというえげつないトラック。そしてそれを受ける女の子は平均年齢13歳台。一体現場はどうなっているのかと思ったら、さすがにその年頃の女の子、場を作るところに気を回すまではいかず、一生懸命な笑顔で一生懸命のダンス。フロアもそんなトラックなのに行けるところにはぐいぐいコールをぶっこんでくる。音さえなければ本当に普通のアイドルの現場なのに、トラックだけが異常な音楽偏差値を叩き出しているという面白現場でした。
校庭カメラガールはいろいろ異端。
勢いはあってもマイナー調の、しかもほとんどオタ芸入れる隙の無い楽曲群。だいたいこんな感じの動きというざっくりした決まりはあっても拍ごとに動きがきっちり決まっているような振付ほとんどなく、好き勝手に暴れていることもままあるというスタイル。据わった眼をして煽り続けるメンバー。結果、まったくもってアイドルのライブという空気感ではなく、どこかのバンド、しかもかなり硬派な奴のに近いヒリヒリした感じすら漂う。
でもこれ、知る限り他のどのアイドルにもない独特な特長になりうるので、これ以上メジャー目指すのであればむしろ今の現場のギリギリ打てるところに無理くりオタ芸ねじ込むのを抑え込むくらいの、そういう方向でガンガン行った方がいいと思う。
あっこゴリラは何かもう。
元々ソニーから出していた女子2人組HAPPY BIRTHDAYのドラマー。それがどうして何があってラップやりながらバナナを投げているのか。無闇に下衆でそれが異様に可愛くて、義務付けられた理由も非常によくわかったのですが、ただどうも今のライブの流れは完全に入りからオチまで鉄板のようで、バリエーションを増やすことが当面の課題か。
同じ場所で10組以上聴き倒してわかった共通項として、楽曲派サブカル糞親父好みのアイドルはトラックの音質がそれ以外と比べて異常にいいということがわかり、さもありなんと思いました。
また、@JAM EXPOのとき、一般的なアイドルオタの範疇に包括されるアイドルのその頂点はでんぱ組ではないかという話をしましたが、やっぱ今回も上記の異端を除けばそういう感じがした。明らかにでんぱ組のスタイルを下敷きにしたようなグループもあったし。そしてグループに一人は金髪がいてもいいというルールが施行されたような感じになっているのも、もがちゃんの功績。
もうひとつ、AKB系で言えば「ピンチケ」と同じような、現場で傍若無人に振舞う若者がいまして、この日にもそういうグループがいて、どのアイドルが出てきても同じように騒いでいたわけですが、各アイドルグループのコアなファンにもオラオラうぇいうぇい系の方もいて、何か観てて以前に書いた
声優系アイドルコンサートでの体育会系ノリとか、痛車とデコトラの類似性とか、親衛隊的ファンが着用する典型的特攻服とか、オタクの人たちは先鋭化するほど、彼ら自身が忌避しているはずの体育会・DQN系の人達の文化に近づいていくのは何故なんだろうか。
これを痛切に思い出した次第。