以前、思い付いたらやっていた「CD販売チェーンの店舗数の推移」、気が付いたら2021年からずっと放置していました。
せっかくなので、過去分も全部掘り起こして数値を並べてみたところ、割と面白かったので、そのまま掲載します。
■TSUTAYA(CD販売取扱店)
2011:940
2012:924
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1449
2013:882
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1436
2014:851
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1411
2016:829
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1389
2021:675
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1061
2026:314
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は651
この5年の間、年間100店舗以上閉店することも多く、さもありなんという感じです。
ただ、ここまでの体感として「CD販売は残してもCDレンタルをやめる、という店の方が多いんじゃないのか」と思いましたので「CDレンタル取扱店舗」を検索したところ、255でした。
やはりそんなもんです。
で、今後は店舗型サービスとしてSHARE LOUNGEを積極的に展開していくというようなことをCCCの方が仰っていたような気もするのですが、現在のところSHARE LOUNGE設置店舗は49。それも三井住友銀行と提携してOlive LOUNGEに併設したSHARE LOUNGEも含めての数。
正味、フランチャイジーが地方のロードサイド型店舗をSHARE LOUNGEにしても、どれだけ需要あるんかとは正直思います。
■GEO(CD販売取扱店)
2011:981
2012:1063
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1127
2013:1106
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1192
2014:1096
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1218
2016:836
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1167
2021:622
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1132
2026:不明(検索条件に「CD販売」がない)
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は1009
検索に「CD販売」のチェックボックスが消えているという非常事態。
正直「もうそこには力入れておりません」という宣言にも等しいかと思います。
確かに他のCD販売チェーンは、それなりにイベントとかを開催して、CDの「推し活」による需要にアジャストしていこうという動きがありますが、ゲオのそういう動きは無に等しいので、そういうことなのでしょう。
「CDレンタル」はまだチェックボックスあったので、そっちを確認したら376。
TSUTAYAと併せて考えても、恐らく今年中に「日本のCDレンタル取扱店」は、500切ると思います。
で、ゲオは会社としては現状で完全にセカストに主軸を置いているわけですが、既存のゲオ店舗は閉店しなくても気が付いたらレンタルやめていて、黄色い看板の「ゲオ」ではなく、黄緑の看板の「ゲオモバイル」になっていたりするので、油断ができません。
また最近は「ゲオデジタルベース」というデジタルガジェットとソフトに絞った新業態に移行するパターンも出てきましたので、ますます油断できません。
■BOOKOFF(中古CD販売取扱店)
2011:955
2012:925
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は961
2013:917
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は948
2014:844
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は872
2016:819
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は849
2021:747
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は769
2026:704
⇒CD販売実施のない店も含めた全店舗数は779
さすがにTSUTAYAやゲオほどの減少幅ではないですし、BOOKOFFの場合は近隣にある複数の小型店舗を移転統合してひとつの大型店舗にするという動きが現在も活発ですので、店舗数は減っていても店舗の床面積はさほど減っていないものと思われます。
ただ、ブックオフについてもCD取扱は縮小されているところが多いです。
多数扱っている時には邦楽CDを割と細かくジャンル分けしていた店が、別々に並べていた「J-POP」と「80年代」と「70年代以前」をまとめて、そうやって圧縮したうえでその空いたスペースでアナログの取扱を開始したりしています。
正味「ヴィジュアル系」のコーナーがある店舗はかなり希少になりつつあります。
また、この3月に東京都立川市に存在していたBOOKOFF 立川栄店が「BOOKOFF FASHION 立川栄店」という新業態で再オープンしました。
立地的に放出したくはないがSUPER BAZAAR業態にするには床面積が狭すぎる、みたいな感じなのかもしれませんが、アパレル系に絞り込んだお店です。
これも今後、こっそり業転する店舗が出てきたりしないか、自分としては怖いです。
■Village Vanguard(New Style、DINER等は除く)
2011:326
2012:352
2013:358
2014:334
2016:333
2021:286
2026:248
2025年7月に「3割閉店」を宣言し、その宣言通り恐ろしいほど着々と閉めているヴィレヴァン。名古屋市天白区の本店すらこの5月末日に閉店予定(これは一応「老朽化」のための閉店ということですが)。
岡崎や京都・新京極、高知の路面店も閉店の予定に連なり、これで残る路面店は東京の下北沢と高円寺だけになるのではないかと思います。
これ、突然の雨漏りや店舗の修繕が必要な事態が発生して、急に雑損失が発生することが恐ろしいくらいに経営がしんどいのではないかなあ、とも思います。
■タワーレコード(VINYL含む)
2010:83
2011:87
2012:85
2013:84
2014:84
2016:80
2021:74
2026:69
「TOWER RECORDS mini」業態の店舗を2年で3店舗オープンさせていますが、その期間には枚方樟葉、苫小牧、イオン倉敷、鷲宮、武蔵小杉、名古屋駅パッセと、閉店も割と多めでした。
必要ならば新規出店もするが、使えねえなら潰すという、シンプルな推移になっていますが、割とキープしているのではないかと正直思います。
で、現在のタワレコのCD販売は、会場イベントを伴った販売に強みを持っていますので、その都市圏の商業的な拠点になりえない、なっていても人口規模の弱い店舗はこれからも死んでいく、ということにもなるのではないか、と思います。
■HMV(record shop等含む)
2010:37
2011:31
2012:43
2013:51
2014:51
2016:53
2021:57
2026:49
2008年には67店舗ありまして、渋谷店も潰れた2010年頃は本当にヤバかったのですが、その後ローソン傘下に入ったことで踏み止まり、その直後タワーレコードの筆頭株主がセブン&アイになったことで、敵対するイオンモールに入っていたタワレコが続々HMVに鞍替えするというラッキーもあって(途中で筆頭ではなくなって鞍替えも停止)、その後は割と安定している感じです。
■新星堂
2010:159
2011:157
2012:140
2013:128
2014:134
2016:120
2021:58
2026:21
1980年代あたりは300店舗レベルの店舗網を誇った日本一のチェーンだったのが、2010年以降も着々と減らして本当に存続の危機。
外資系のチェーンに持っていかれたというよりは、元々駅近のジャスコやらヨーカドーやらダイエーそのものが大店法廃止以降にできた郊外型大規模ショッピングモールにやられてしまい、下手に店舗網を持っていただけに新しいモールへの展開が遅れ、結果としてダイエーとかと一緒に弱っていった、と言った方がより正確かと思います。
中央線沿線で創業し、一時は荻窪に本社がありましたが、茨城県のスーパーの子会社になり、その後ライザップの子会社になり、現在の本社は土浦市。
茨城県のスーパーの子会社になった時は、本社が荻窪からつくば市の郊外になったのですが、それを聞いた時の本社スタッフの方々の気持ちを慮ると、他人事ながら胃が痛くなります。
■山野楽器(CD販売店のみ)
2010:31
2011:30
2012:30
2013:32
2014:31
2016:31
2021:23
2026:13
銀座本店は現存する最古の「音源(レコード)の販売店」だったのですが、2024年7月でCD販売をやめてしまいました。
元々戦後の首都圏のデパートに支店を出しまくることでレコード販売店としての店舗網を伸ばしていったのですが、百貨店自体がシオシオになっていったことでシュリンクしていくというパターン。現状で百貨店に残っているのは、大宮そごう、川越丸広、入間丸広の3店舗のみ。
また、東京近郊の主要駅の駅ビルにも多く入っていましたが、それも徐々に減らしていって16年で半減以下。
楽器や教室の稼業もありますが、そっちをバリバリ伸ばしている感じもなく、正味あんまりよろしくない状況ではないか、と思っています。
■玉光堂
2010:25
2012:26
2013:26
2014:26
2016:22
2021:17
2026:12
■バンダレコード
2010:11
2012:16
2013:16
2014:19
2016:26
2021:30
2026:17
■イケヤ
2010:16
2012:12
2013:12
2014:11
2016:7
2021:4
2026:4
「玉光堂」「バンダレコード」「イケヤ」は現在すべて株式会社玉光堂の運営(長野県松本市のライオン堂も)。
バンダレコードが玉光堂傘下に入ったのは2011年、イケヤが同じく傘下に入ったのは2018年。
それまでずっと玉光堂は北海道内に留まっていまして、バンダレコードを傘下に収めたことで結果として道外に出たことになったわけですが、その後何故か道外に新規で出店する店舗に「玉光堂」の看板を架ける試みを開始します。
そのうち現存しているのはイオンモール奈良登美ヶ丘の店舗。言うても新星堂が撤退した跡に入った店ですが。
バンダレコードは埼玉は所沢を本拠地にし、2000年代に所沢の路面にあった本店を畳みつつもWAVEや新星堂の跡地に入る形を中心に店舗網を増やしていきますが、いうてもそれは「残り滓」であり、単独では生き残れなくなった形。
イケヤは静岡の書籍も併売する総合書店も持っていたローカルチェーンですが、CCCと提携して生き残りを図ったもののうまくいかず、書籍部門は明屋書店、CD販売部門は玉光堂に身を預けるという形、本当にしんどそうに存続を図っています。
で、新星堂がガンガン店を減らした結果、現在玉光堂グループは、TSUTAYA、タワレコ、HMVに次いで日本で4番目の店舗網を持つCD販売チェーン、ということになります。

■ミヤコ
2010:10
2012:9
2013:8
2014:9
2016:8
2021:1
2026:1
かつては関西CD販売チェーンの雄が、現在は伊丹昆陽のイオンに入る一店舗のみ。
正味これもいつ力尽きるかと思いつつ見ていましたが、割合しぶとく頑張っています。

■JEUGIA(CD販売店のみ)
2010:12
2012:9
2013:8
2014:6
2016:6
2021:5
2026:5
こちらは既にカルチャー講座を含む教室事業をメイン業態としていますので、正直CD販売は二の次三の次状態。
それでも四条烏丸の[Basic.] の地下アナログ売り場は、いつも外国人でわちゃわちゃしていたり、押さえるところは押さえています。
山野楽器本店がCD販売をやめた今、三条本店が「日本最古の『昔から同じ場所で音源を売り続けている店舗』」のはず。
■BIG
2010:34
2012:29
2013:29
2014:24
2016:26
2021:9
2026:0
2025年1月末日をもって全店閉鎖とあいなりました。
「販売店が減ると卸が困るので、卸主導で店舗展開を行った」事例で、一時はすごい勢いで潰れる店舗の跡地にすごい勢いで居抜きでオープンさせていったのですが、元々潰れる店舗だったので、半年ももたずにBIGの方も潰れたりしていたのに加え、2017年あたり極小になってきた、という根本的な事態に直面。
そこから先はもう為す術もなく店舗網を減らしていっての現状、ということです。
公式サイトではなかなか閉店情報を出さないまま閉店していったので、自分としては大変厄介だったのですが、全店閉鎖後こういうメッセージを出す会社もあまりなく、ちょっと泣けます。

■We's
2012:13
2013:10
2014:11
2016:13
2021:10
2026:10
BIGとは別の「販売店が減ると卸が困るので、卸主導で店舗展開を行った」タイプ。
しかし一時からほとんど新店舗を出さなくなり、しかしほとんど閉店もしなくなり、地道に商売できている謎。
新潟県長岡市の大きなショッピングモールから追い出されたと思ったら、近所の古いイオンに店を出したり、元々古い郊外型アピタにあった店舗を畳んだと思ったら、近所の地下鉄駅直結の新しめのショッピングモールに移転したり、何かフットワークが軽いのも謎。

そんな感じです。
BIGは死んだし、新星堂も大変なことになっていますが、それでも2021年から考えると「よくぞここまで残っている」と言う方がむしろ正解だと思っています。
ただ、TSUTAYAもゲオも「CD販売」の場としてはいよいよ終わりに差し掛かっていますし、タワレコが最高益を上げたその原動力となったイベント連動型の販売手法を、小さなチェーンが同じような強度や頻度でできるはずもなく、いよいよ最終局面には入りつつある気はします。