2月21日に、千葉県浦安市舞浜の商業施設イクスピアリに「TOWER RECORDS mini」がオープンしました。
元々イクスピアリでは新星堂が営業していたものの、2022年5月に閉店してそれ以降CD店は入らず、まあ今の時代当然だなと思っていたら突如1月20日に「オープンします」の告知がなされて。
ただそのオープン告知を見てちょっと引くわけです。
「日本一小さなタワレコ」
「店舗面積:9.93坪」
これはあかん。10坪ないってそれ駄菓子屋レベルじゃないですか。
ということで、大変に気になったのでとっとと見に行ってきました。


すごく小さい。
入って右手に新譜CD数十種程度。
左手はタワーレコードがプライベートブランド的に制作・販売している「推し活グッズ」類。
それだけです。
お台場・有明に行ったことがある方であれば、東京ガーデンシアターの建物の南側にコバンザメのようにくっついているHMV SPOT、あれと同じような感じです。
関西の方であべののキューズモールに行ったことがある方であれば、5年前くらいまであったHMV SPOT、あれと同じような感じです。
タワーレコードは2024年に神奈川県海老名市、愛知県名古屋市にそれぞれ今回の舞浜と同様の「TOWER RECORDS mini」の屋号で新店舗をオープンさせていますが、それはそれぞれ大型のイベントスペースを持つ商業施設内に入ったもの。
要するに、商業施設内領域でアイドルグループ等がイベントを行う際にその企画をサポートしつつ、開催当日にはCDやグッズの販売(及びイベント参加に必要な権利を得るための事前CD予約受付とお渡し)を引き受けることでアガリを得るというパターンに特化した店舗です。
商業施設内のパブリックな領域にあるステージや大きなスペースを使用する歌手イベントにおいて、その商業施設に入っているCD店が即売等を担当するというパターン、元々昔からそういう感じの商いは行われていましたが、昔はそれ以外で普通にCDがばかすか売れていた時代なので、イベントでの即売はおまけというか特需みたいなものでした。
それがこんな時代になったことで、店を継続させるためにはイベントで集客をして販売して、を回していくことが重要となり、むしろ店舗によっては欠かすことのできない生命線的な存在に。
新星堂が、経営が厳しくなってからも断続的に池袋サンシャインシティに店を出し続けたのは噴水広場でのイベントが大きかったわけですし(コロナ禍でイベントできなくなって撤収)、ラゾーナ川崎で、施設内で縮小移転しつつもオープンから現在に至るまでHMVが営業を継続しているのは、日本有数の大型イベントスペースの存在があるという点も大きいですし。
そしてHMVは2010年代、商業施設内で開催するそういうイベントとそれに伴う販売(予約と受け渡しも含む)に特化してそれ以外を削ぎ落した「HMV SPOT」という名義の極小店舗を出すに至ります。
しかしHMVはそこらへん、運用なのかコネクションなのか、削ぎ落したが故にコロナでイベントできなくなって詰んだか、うまくいかないところもあったようで、みなとみらいやキューズモールのHMV SPOT店舗はほどなく撤退、現在その名義で営業しているHMVは、商業施設でのイベントではなく、東京ガーデンシアターの物販を引き受ける形で生き残っている有明の店舗のみ。
(HMV&BOOK SPOTという名義では新宿や伊丹空港の店舗が営業中)
一方タワーレコードは、渋谷・新宿の大型店舗や、錦糸町パルコ店や今は亡き秋葉原店等で、自店舗内にステージを設けてインストア型でイベントを開催して集客するという手法に強みを持っていました。
もちろん商業施設内の各店舗でも、イベントがある際に即売は行っていましたが、2024年の海老名・名古屋への小型店の出店によってHMV SPOTのような「商業施設内イベントありき」タイプの小型店舗を拡大する方針を明確に打ち出します。
その流れの一環が今回のイクスピアリの店舗ですが、出店したのはイクスピアリの一番奥の方の他にあまり店がない位置、施設のクレジットカードサービスカウンターの隣で以前は幼児教室だった、およそ純粋な物販には向いていないロケーション。
しかも海老名や名古屋はまだ一応「普通のCD店」としての体をギリギリ保っているのですが、振り切ってきました。
ただ、イベントが行われるスペースには非常に近い。下の写真の「OUTBACK」の球体のちょうど裏のあたりです。

本当にイベント以外では商売する気がないというか、イクスピアリでのイベント販売担当がしたいがためだけの店。
これがCD販売の「今」のひとつの側面です。
ですのでHMVも諦めず、再び「HMV SPOT」を、以前あったあべののキューズモールの交差点を挟んではす向かい、JR天王寺駅ビルのミオに新たにオープンさせて、キューズモールを含む周辺のイベントを取りに行くようです。
天王寺ミオにはこの1月まで新星堂が入っていたのですが、その新星堂はかつて「インストアイベント特化型」の店舗というか小型イベントスペース「エンタバ」を、渋谷と秋葉原の2か所で展開していたものの現在双方撤収済み。
秋葉原の方は昨年11月末に閉店して、現在はトレカ屋兼デュエルスペース。


新星堂はダイエーやイトーヨーカドー等、後にGMSと呼ばれる商業施設内に出店する形で1970年代後半以降大きく伸長したのですが、その店舗網が分厚かったが故に大店法廃止以降の立ち回りが遅れて、大型ショッピングモールへの展開については当時の外資系ショップの後塵を拝し、その後GMS業態の弱体化もあって、CD全体が厳しい中でも現状で割と大きな差がついてしまっている。
商売って、恐ろしいですね。