12月2日は、Portisheadのシンガー、Beth Gibbonsのソロ来日公演。

Portishead全盛期は一度来日決定したものの中止。
昨年リリースされた初めての完全ソロ名義のアルバムがえらくよかったのですが、その年のフジロックに出演したもののそれだけのために苗場に行くという判断がお金のこともあってできず、今回の来日が発表された際もお金のことで一瞬迷いまして、でも会場がすみだトリフォニーホールと聞いて即決。
新日本フィルが拠点として使用するなど、主にクラシックの公演に使われるホールでやるとなれば、このアルバムのあの音をそういう音響で聴ける。あわよくばPortisheadの楽曲もそれで、と考えたら行かない判断などできません。
会場に入ってみるといかにもクラシックで使っている感じのホールで、実際音が出てみたら、下手したら普通のライブより全体の出音のボリュームは控え目なくらいのですが、分離と残響のキレが抜群にいい。そしてそういう音が彼女とバンドの出す声と音に抜群に合う。やったぞSMASH。
中央にBeth、後ろに上手からパーカション、キーボード、ドラマーが並び、Bethの横の上手側に主に弦と管をとっかえひっかえ演奏する2人、下手側にギターとベースを主に演奏する2人(ただし特に前の4人は曲毎にいろんな楽器を演奏)、という8人編成。
全体的なトーンとしてはアルバムの通り淡々と進むのですが、アルバムの中のそれなりだったはずの「静と動」が、もうとんでもないレベル。爆発的なダイナミズム。
まさかこのアルバムの音で「うおー!」という気持ちになるとは思わなかった。
音源からのダイナミズムの飛躍、という意味ではSigur Rosのライブを初めて観た時の感覚に近いかもしれない。つまり最高ですよ。
ということでセトリは以下の通り。
01.Tell Me Who You Are Today
02.Burden Of Life
03.Floating On A Moment
04.Rewind
05.For Sale
06.Mysterious(R)
07.Lost Changes
08.Oceans
09.Tom The Model(R)
10.Beyond The Sun
11.Whispering Love
EN1.Roads(P)
EN2.Glory Box(P)
EN3.Reaching Out
昨年の完全ソロ名義としては初のアルバム「Lives Outgrown」から全曲10曲、2001年のRustin Man(Paul Webb)との共同アルバムから2曲(R)、Portisheadからアンコールに2曲。
80分程度の短いライブでしたが、もうそれは濃密な時間でした。
というか、Portisheadを初めて聴いた時の「何だこれは!?」感を思えば、そこから約四半世紀を経て生で「Glory Box」聴けるとは思っていませんでした。つまり最高ですよ。
我々も含めて大変に盛り上がり、演奏はじっくり聴くものの各曲の終わりで盛んに拍手し声を上げる。日本ではそういうのを期待してなかったのか、前日がどんな感じだったかはわかりませんが、Bethは何か驚いたように笑いながら両手を広げ、ライブが終わった時にはもう満面の笑みで、普通にキュートなお姉さんだったところも大変によかったです。
終わった後の感覚は、もう少ししっとりした「幽玄」っぽい気持ちになるかと思っていたのですが、ライブ中は盛んに「うおー!」となっていたので、結局気持ち的には「すごくいいライブを観た」後のあのほくほくした感じでした。
で、今回のソロアルバムの音源を聴いて思っていたのは、トーンはあまり変わらなくとも「Portishead」的な音作りをできるだけ排しているな、ということでした。
打楽器は多彩に使用していてもPortishead的なあの特徴的なスネア音は一切聞こえてこなくて、だから今回のライブでもしPortishead楽曲をやる時にはどうするのだろう、というのは地味な興味のひとつでした。
そしてアンコール、ああ間違いなくあのスネア音が聞こえる。曲構成としては音源に近い。
で、ステージをよく見るとそのスネアを叩いているのはドラマーではなくパーカッションっぽい。
「Beth Gibbons」のライブなのだからドラムセットとしてはスネア置かんという意志の結果なのか、ダブ的なマナーとしてそういうこともあるのか、何となくそうなったのか。
よくわかりませんが、状況としてそういうのも何となく楽しい。いろいろ楽しい。
ということで、今年1-2を争うレベルの、「すげえものを観た」と心から思えたライブでした。
そしてすみだトリフォニーホール、一歩出たらアホみたいに飲み屋が並んでいる立地なの、大変にありがたい。
ホール出て数歩歩いて道渡った途端におでん屋に吸い込まれました。最高です。