Caroline@渋谷WWW Xのライブのこと

9月3日は渋谷WWW XでCarolineの来日公演でした。

彼らのことは本当に最近、2ndアルバムのリリースの際に知りました。
それで聴いてみたところ1曲目「Total Euphoria」でもう何か持っていかれるわけですよ。
美しくはあってもはっきりした美メロではなく、踊れるようなわかりやすくかっこいいビートでもなく、「各楽器が好き勝手に鳴らして歌ってみたら偶然に完璧に全部噛み合ってしまった」みたいな風情すら漂う、「聴く奇跡」のような音楽。

もちろん恐ろしく計算ずくの結果であることは理解できます。
でもだいたいにおいて計算ずくの音楽というのは大変に緻密で閉じた空気感になるイメージを持っているのですが、ここで鳴っている音は確実にこっちに向かって開いている。

計算ずくだったとしても何から始めてどう計算したらこんなところに辿り着くのかさっぱりわからない。

「すごく好きだけどわからない音楽」なら、もう生で観るしかないわけで、程なく来日公演の報が届いたのでもちろん取ります。そんなのんびり取ったわけでもないのに500番台後半。危ないところでした。

フロントアクトは松丸契。DOS MANOSの演奏をしたり、betcover!!に参加しそうになったりした方ですが、木管や弦のサンプルを自在に組み合わせながらそこにサックスを乗せていく、浮遊感とタイトさが入り混じる不思議な音楽。

Carolineはメンバー8名がステージに半円状に並ぶスタイル。全員が全員の呼吸等を目視できる形ですね。もうこれだけで「バンド」としての本気度が伝わってきます。

メンバーが出てきて演奏が始まる前、その半円の中心部分で何かやってると思ったら、「サックスの低音をアンプからスネアにぶつけて、その振動を増幅する」ためのセッティングだったということで、もうどうかしている。
でも、「場の空気の震え」はこのライブ中の全編通して圧倒的に重要なファクターとして存在し続けて。

かくして、メロディやとかリズムとか美しさとか激しさではなく、音と音と声と声の、間合いの機微とか重なりのダイナミズムで以ってドカンドカン盛り上がる。
そして最終曲の「Total Euphoria」では、さらに美しさとか激しさも加わって、もうどうかなりそうなくらいブチ上がる。

音源を聴いていた時にはジャズもよく知らないのに「非ジャズ的な構造の音楽をジャズ的な方法論で提示しているのでは」みたいな感想を抱いたこともありますが、そんな言葉で丸めてしまうのが非常に陳腐に感じるレベルの、他の何物でもなく、でも圧倒的に純粋な音楽。

いや、今年一番だったかもしれないです。
そもそもタイムラインに複数流れて来たから知れたバンドなので、本当皆さんありがとう。これからもよろしくお願いします。