11日は、とりあえずワンマンとか変わった趣向のライブの時はできるだけ観に行くヌュアンス@KT Zepp Yokohama。
ここまでの彼女たちのワンマンは概ねバンドセット、かつ芸人さんや役者さんを呼んで、割と凝った演出を伴うものが主でした。
が、今回はそういうの一切なし。
というか、ハナから「バンドも役者も芸人も映像も特効も造作もない」「100分間ノンストップ」ということを公言している状況で。
正味、ここまでのワンマンでの「演出」は、日々行っている複数グループが出演するようなライブとワンマンのような特別なライブとを差別化するにはそれしかなかったから、でもあったと思います。
特にオリジナルメンバーの時代は、優れた楽曲を比較的、よくいえば「繊細に」表現するグループでしたので、ワンマンとしての「特別感」を出すためには、当然そういう演出を選択することになります。
それがメンバーが替わり、今のメンツが揃った頃には「ヌュアンス」的な空気はキープしつつも、チーム感であるとか勢いであるとか、そういうところにおいてはもう別グループのように成長していて。
それを踏まえて、己の身体表現のみで限界に挑む、そんなライブを選択したのだと思います。
結果としては、彼女たち過去最強のライブになりました。
オリジナルメンバー時代でしか観たことのなかった曲はもう完全に違う表現になっていたり。
かつては割とライブのハイライトで披露されていた、重要なポジションだったはずの曲が割と前半の方でさくっと歌われてとっとと次に行ったり。
最近の曲もよりビルドアップされていて、これはこういう場で披露されているからということもきっとあるのだろうけど、こういうことが今できている彼女たちは、この先もっとすごいことをやらかすのだろうな、という期待も。
ここんとこ観るたびに今の体制は伸びしろあるよなあとは思っていましたが、あからさまに「伸び」を目の当たりにしたライブでした。
が、この日のライブが21時前に終わり、その後特典会をしていたはずなのですが、翌日の14時に福島県いわき市でのライブをブッキングしてるのは、控えめに考えても頭おかしい。
15日はZepp HanedaでThe Last Dinner Partyの来日公演。
昨年のフジロックに出演していたのですが、それだけではさすがに苗場に行くという判断はできず。
フジロック前に単独公演が一発入ったのですが、リキッドルームという無茶なサイズの箱だったためチケットも取れず、もうこりゃ当分観られないかと思っていたら、割とあっさり再来日が決まったので、そりゃもうものすごく気合いを入れてチケットを取りました。
その気合いが効いたか、おっさんには快適な2階席ゲット。
で、彼女たちのアルバムは全編通して割とゴリゴリのJames Fordのプロダクションですので、鳴っているのは間違いなくバンドの楽器なのに全体的なサウンドは劇伴ぽかったりデカダンぽかったり聞こえる感じの音源だったわけで、これをライブで生で聴くとどんなもんなんだろうという興味が一番だったのですが、会場に入場すると幕前は完全にオペラだったりサウンドトラックだったり、時には伊福部昭氏の「ゴジラ」のテーマ曲までぶっこまれたりの面白状態で、ああもうこれは諧謔性バリバリの超デカダン状態になるんだろうなと思いつつ待っていて。
が、実際聴いてみると、デカダン風味は残しつつもきちんとバンドサウンドで、さすがストーンズのフロントアクトにもなるわと思えるバランス感覚だったのですが、徐々に具合がおかしくなってくるというか、こっちの思い込みをぶち壊しにかかってきます。
正味まだそんなに持ち曲が多いわけではないので割とMC多めに入るのですが、みんな一生懸命日本語で話しかけてくる。曲毎に各メンバー持ち回りでMCを入れるというルールっぽかったのですが、特にベースのGeorgia嬢はほぼ全編片言ではあっても日本語で通してくる。
そんな感じで場はなごみつつ、ライブでは定番のBlondieの「Call Me」のカバー等含めて演奏も熱を帯び、例の「オーディエンスの盛り上がりで演者のテンションが上がり、それでさらにオーディエンスも盛り上がり」の正のループ状態に完全に突入。
メンバーが本当に楽しそうに演奏し歌い、我々も大変に楽しくて、デカダンとか耽美とか思っていたのが馬鹿みたいに、終盤はもう会場中がハッピーな空気に包まれながら、アンコールラストの「Nothing Matters」では会場中みんな笑顔で「ファッキュー」大合唱。
終演後爆音でかかったのがDire Straitsの「Money For Nothing」だったのは、正直意味がわかりませんでしたが、もうそれでいいです。
ということで、割と長い間観続けているグループが最高到達点を記録したライブと、若い海外バンドが探りながら演奏を開始して結果として最高の空気を作り出したライブ。どっちも大好きです。