第75回紅白歌合戦を見たこと

紅白見ました。

司会については、彼女のバラエティ出演時の振る舞い等を考えると「伊藤沙莉無双」もあり得るかと思ったのですが、進行を書いた人の評価がそこまでではなかったのか本人の意思か、それほど前に出てくることはなく、というか彼女の声は大変に好きなのですが、ああいう場で、しかも華やかで通る声の橋本環奈と並んでしまうと、それはちょっと大変だと思わざるを得ず。
来年もう一度、フリースタイルな場を増やして再チャレンジしていただきたいと思います。

あと、装置については物理的な装置がほぼなくなって液晶スクリーンに任せるようになってから随分経ちましたが、今年は「CG使うからって別にCGっぽくなくてもよくね?」的な境地に達したか、無理にCGっぽい表現を使わず、壁とか柱とか照明とかの物理的なところを模したテクスチャー表現がこれまで以上に多用されていると感じました。
何年前だったか、昭和のCGみたいな人形をスクリーン上で動かしていたこともあったのを考えると随分こなれてよくなりました。

で、内容としては、もうB'zに尽きるわけですが。
新浜レオンの出場が発表された段階で、彼はB'zと同じ系列事務所だからバーターでの出演であり、この時点でB'z確定という話までしていた方もいましたが、実際あそこまでやるとは。
「LOVE PHANTOM」の長いイントロが、実用として役立った瞬間を初めて見たことにも少し感動しました。

で、そのB'zの後は藤井風のニューヨーク生出演があり、そういうすごく「濃い」のが続いた後に三山ひろしのけん玉というのは、順序としてそれはちょっとどうかと思ったわけですが。

でも改めて考えてみた場合、B'zは元々「大晦日と正月には仕事はしない」ことを公言していた人たちで、それを翻して出演するにあたっての条件として「年越しのタイミングまでには帰宅して家で過ごしたい」みたいなものがあれば、あれはもうギリギリのタイミング。
藤井風もニューヨークとの時差を考えると、あれ以上遅らせると街に人がぞろぞろ湧いてくるので、あれ以上は無理と考えると合点がいきます。

その後の三山ひろしについては、ああいう濃くて浮世離れしたコンテンツが続いた後、改めて「平場の紅白」に空気を戻すためには、あれぐらい強引でなければいけない、と考えればこちらも合点がいきます。合点がいくと思うようにします。

ただ、この2024年の紅白歌合戦で最も特筆すべきなのはやっぱり星野源で。
少なくとも記憶にある限り、過去の紅白であそこまで「祭りや追悼や祈りその他全ての感情から切り離された時間」、ほぼ虚無にも等しいあれは見たことがない。
微妙だが意味合い的に大きな歌詞変更も、字幕から変更完了していましたので、完全にNHKと星野源の共犯でもっての仕事です。
そもそも「ばらばら」を歌うに至る経緯はまあアレですが、それに対して完全なカウンターとして機能した時間でした。
というか、カウンターとして機能する楽曲を元々持っていた星野源がヤバい。

ということで、番組全体の流れとしてはイマイチでしたが、個々の楽曲・企画としては相当印象に残ったというのが2024年の紅白でした。

ついでにレコ大の話もすると、過去と比較してTVショーとして随分まともになっているという印象でしたが、「過去の受賞映像」を相当に減らして、「CDTVライブライブ」の「フルサイズ歌唱」等のエッセンスを持ち込んだ結果ではないかと思いました。
もう全編江藤アナでいいと思いました。あの何の意味があるのかわかんないバインダーみたいのも持てばいい。