RIDE@リキッドルームのライブ(2DAYS)のこと

4/19と20はRIDEを観にリキッドルームに通いました。

19日は1st「Nowhere」再現ライブ。20日は2nd「Going Blank Again」再現ライブ。これはどうしても行かなくては行けないヤツ。学生時代をエグってくるヤツ。

「Nowhere」は今思い返すに「今に至る音楽ジャンルとしての」シューゲイザーのパイオニアなわけです。
もちろんその前にはMy Bloody Valentineの「Isn't Anything」もありましたし、その前のThe Jesus And Mary Chainがそもそもの始祖でしょ、いやその前に云々と様々説はあるわけですが、「Psyco Candy」にしろ「Isn't Anything」にしろ、あれは常人が常人の感覚では作りようのない異形のブツであり。

「Nowhere」はそんな異形の音楽を常人でもフォロー可能なレベルに翻訳したという意味での先駆者的な音だと思っています。そういう意味、「ジャンル」としてのパイオニア。

アルバム以前に当時UKのインディーズをリアルタイムで追っていた方々であれば「赤RIDE完売」「黄RIDE完売」という輸入盤屋の状況を覚えておられるかと思います。
あの当時のRIDEは何か神がかっていました。Creationといういわば「直系」であること、赤→黄→ペンギン→波というリリースの流れの完璧さ、そして「波」の、フィードバックに頼り切ることのない音楽的な多彩さ。

そしてそんな完璧な1stの後どうするかと思ったら、「Leave Them All Behind」という長尺の超ヘビーサウンドでまたたまげるわけです。そのカップリングには更に長尺でヘビーな「Grasshopper」。
こう来るのかと思わせておいてからの2ndアルバムは、蓋を開けてみれば1st以上に多彩な音楽性を持つ、大変に「豊かな」アルバムで。
ただその分「シューゲイザー」分は著しく後退したわけですが。

その後は正直「この音は別にRIDEじゃなくてもいいんじゃないの」的な方向に進んでいったため、2ndまでの記憶が宝物のように残っていて。
そういうリアルタイムの彼らを経験したおっさんにとって、この「アルバム再現ライブ」はもう避けては通れないのです。

19日「Nowhere」。
「Seagull」のイントロの時点でもう泣きそうになる。「Dreams Burn Down」のイントロの太鼓でゾクゾクする。「Vapor Trail」で感無量。という概ねベタな感想。
ただ、「Nowhere」は元々8曲のアルバムで、CDボーナストラックとして「Fall EP(通称ペンギンRIDE)」の「Dreams Burn Down」以外のカップリング3曲が収録されているという形なのですが、そこはきちんとCD準拠で11曲きちんとやる律義さ。

で、アンコールに翌日やるはずの「OX4」出てきておおうと思っていたら、いきなり「新曲やるよ」と言って新曲、そしてオーラスは翌日1曲目で聴く予定の「Leave Them All Behind」。
次に繋ぐという意味ではあんまり直接的過ぎるのですが、でもやっぱりいい曲なのでOK。

20日「Going Blank Again」。
何となく前日より場のテンション高め。わかる。敢えてこっちだけ来る人とはむしろ友達になりたい。というか古い友達がそれだった。
正直なところ、音楽としてはこっちのほうが楽しい。1stが音楽史上に残る名盤であることは承知の上で。
本編「OX4」の後、「ボーナストラックやるよ」というMCの後に「Grasshopper」。それ大正解。ゴリゴリに弾き倒し叩き倒す10分強。最高じゃないですか。
アンコールでは昨日と同じ新曲やりつつ、「Taste」「Vapor Trail」も。ああ、これで終わるのもいいなと思っていたらオーラスで赤ライドの「Chelsea Girl」。最後の最後に鷲掴みに来た。

それでも、新曲やるし「来年また来るよ」と言ってるし、再結成後の「現役バンド」感もふつふつと感じさせる、大変によい2日間でした。

問題点があるとすれば、当時は圧倒的美少年だったマークが、元々髪は細そうだったので現在スキンヘッドなのはやむを得ないとして、あと体型も当時の細身ではないのもやむを得ないとして、でも何か弾いたり歌ったり動いたりの所作までが「おっさん」になっていたことでしょうか。
でもそれもやむを得ない。だって実際おっさんだから。
そして自分も当然おっさんになりました。RIDE、大好きです。