SUMMER SONIC 2022の運営等のこと

SUMMER SONIC 2022は、割とサマソニ的な本領を発揮できたラインナップだったと思います。
洋楽しか聴かない人も、J-POPしか聴かない人も、8ビート好きな人も、R&Bやソウル的なノリが好きな人も、ボーイズグループ一筋の人も女子アイドルオタクも、割と2日間居られる振れ幅。
時間が少し空いた時の思い付きでリリカルリリィ観に行ったり、Kula Shakerかきゃりーぱみゅぱみゅかで死ぬほど迷ったり、というのは他ではなかなかできない体験。
自分にとってはサマソニのこういうところがちょうどいいので、他に何もなければ夏は原則サマソニという判断をしています。
そりゃもちろん「The Stone Roses再結成、フジロックのヘッドライナー」みたいな時には、当然涙流しながら苗場行きますけど。

そういう異なるジャンルが入り乱れているサマソニでは、当然ファン層も入り乱れるため、喫煙所でものすごくR&B系好きそうなファッションの女の子2人組が笑いながらK-POPをディスっていて、それを少し離れた所に立っている、透明スマホケースにイケメンの写真を入れている女の子が黙って睨みつけているといった、一触即発っぽい状況もあったりしますが。

クリエイティブマン主催のフェスは運営も割と盤石で、過去十数回参加していて「これはちょっと」と思ったのは、SONICMANIA初開催時にドリンクチケット制を敷き、その結果公式ドリンクブースがあり得ないレベルの長蛇の列になったという事態くらい。
特に自分がだいたい毎年行っているサマソニ2日券のリストバンド交換については、本当に年を追うにつれてそのスムーズさが増しています。
が、今年はちょっと気になったことが2点ほど。


<スタジアム満杯問題>
20日のマリンスタジアム、MANESKINのステージ直前あたりから、マリンスタジアムのスタンド席の具合がおかしくなりまして。あからさまに人が多過ぎ。もうスタンド席の座席もおよそ全部埋まっているのに次から次に人が入ってくる。
スタンドへの階段登ってすぐのエリアは元々通路の確保のために「滞留禁止」になっているのですが、スタッフのひとりがマニュアル通りに「ここに立ち止まらないでください進んでください」とアナウンスしても、そこから先にもう進める場所がビタイチなかったりとか。
結果、通路や階段まで完全に人で埋まって、トイレに行くのも困難なレベルでミチミチに。

これでもし地震とかどっかで発火とか起きて「緊急に避難しましょう」みたいなことが起きたら少なくとも怪我人は続出すること間違いなし状態です。
いつもならこうなる前に入場規制を行っているはずなのですが、完全にそのタイミングを逸した模様。

元々MANESKINからKing Gnuの並びの部分は「洋楽」客のメイン層と「邦楽」客のメイン層が交わるタイミングですので、そもそも人は多くなりがちですが、私のようにMANESKIN急に見ようと思った人が多かったり、King Gnuが前のフェスをコロナでキャンセルしてからの「復帰」ライブだったこともあるためか、想定よりも総人数が多くかつMANESKIN終了後にスタジアムを去る人数が少なかったのではないか、という推測。実際MANESKIN後に席を立つ人すごく少なかったので。

また、リストバンド交換のような「想定できる状況をきっちり捌く」ことは、改善を繰り返してマニュアル化していくことで練度は上がっていきますが、想定外の事態が起きた時にいかに通常運転に近づけていくかという「その場の判断」は割とマニュアル化しにくい部分でもあり、かつ3年の間が空いたことで「その場の判断を的確にできるスタッフ」の数が減っていた可能性もあります。

危険な状況はKing Gnu終了後に改善。何か事件が起きて怪我人が出たみたいなことも知る限りはなく、結果オーライだったっぽいですが、それでも「ヒヤリハット」として今後の対応に生かしていただきたい所存。


<前方エリア待機問題>
これは21日のマウンテンステージで目撃したのですが。
マウンテンステージ前方は、昔は仕切りもなくどこからでもアクセスできたのですが、近年は前方エリアは後方とは柵で仕切られ、ひとつの入口からしか入れない仕様になっています。

が、そのために熱狂的なファンの多いボーイズグループの出番が近づくと、その入口付近が割と酷い状況になりまして。
人が入口に殺到して押されて割と危険な状態になったり、入口周辺に人が集中するせいでステージエリアから出入りするための階段への動線が塞がれて渋滞気味になったり。
前方エリア入口付近には、プレミアムエリアやファミリーエリアへの入口も近接しているため、その往来を確保するのにもスタッフ四苦八苦。

そろそろ他のフェスでは導入が進んでいる
・当日の前方エリアはミュージシャン毎に完全入れ替え制にする
・チケット購入時にフェイバリットミュージシャンの登録を実施
・その登録者内で抽選を行って前方エリアへの入場順を決定
という方式を取り入れないとあかんのではないかとは思いましたが、サマソニの特徴として「早い時間帯等にあまり有名でないミュージシャンをチャレンジ枠的に大きなステージに出す」パターンがありまして、そこまで抽選にすると「後ろの方にはそれなりに人はいるのに前方エリアにあんまり人がいない」という事態にもなりかねず、完全にそっちに舵を切るという判断もしにくそう。

「当日の前方エリアはミュージシャン毎に完全入れ替え制にする」ことまでは完全実施として、あとは抽選したりしなかったりの形で何とかならないものか。でもそれはそれで気付いてないところに穴もありそうで、難しいぞこれ。


声出し問題については、これそもそも個々人によって考え方に相当な差があることですが。
欧米のフェスは既に概ね何でもあり状態に戻っていますが、現場で見た限りで来日勢については実際その欧米ノリでそのままやる方がほとんどでした。シンガロングを求める演者も多かったし、モッシュさせようとしていろいろ指示を出したものの失敗していたバンドもいたり。

日本には日本のガイドラインがありますが、海外勢にどこまでそれを求めるかという点については、現場でも相当にグレーな感じではありました。
海外勢がそういう状態で日本のミュージシャンにどこまで厳守を求めるべきかというのも、自分は割とビビりな方なので当然厳守が理想だとは思うのですが、そもそも「個々人によって考え方に相当な差」があるものなので、なかなか難しい。

サマソニ以外の国内のワンマンライブ等でも、入場時会場には「声出し禁止」の張り紙があっても、ライブが始まるとミュージシャン自身がガンガンに声出し煽ってくる現場は既にありますし、一方で日本での今後のライブに対して強い危機感を持ちつつも、SiMのようにガイドラインに沿いながらすさまじく誠実に事を進めようとしているバンドもいるということはお伝えしたい。


ホルモンやKing Gnuのステージ上での言動の件については、King Gnuの方しか実際を見ていないのですが。
まずKing Gnuがステージで乳首シールを行う前のMANESKINのパフォーマンス中、ドラムキットのスネアの調子が悪くなったのですが、次のステージのために既に袖に準備されていたKing Gnuのスネアを急遽借りることで凌ぐことができた、というちょっとした事件がありました。
その縁もあってか2日目大阪の幕前にはこんな写真も撮っていているということはお伝えしておきます。

誰かの言葉や行動についていろいろ考えたり課題を見出すことは、時にはとても大事なことなんですけど、当事者以外の人がどこまでそれを広く共有すべき問題として提議するのか、という点は割と難しいなあと思いました。


ということで、後半は何か言っているようでほぼ何も言ってないわけですが、仕方がないじゃないか。