行政区域ごとのDVDレンタル店の数を計測してみたこと

かつてはちょっとした町の駅前にはほぼあったはずのレコードレンタル。
徐々にそれらの店舗は減っていき、CD時代になってチェーンの買収や合併が繰り返された結果ほぼTSUTAYAとGEOに収斂し、そしてそうなった店も徐々に減りつつある今。
お店の動向を観察し続けた結果、現在はそういうお店の数の差が都市によってかなり大きくなってきた感じがしておりまして。
そこで、きちんと値を取ってみようと思いました。行政区域ごとのレンタルの店舗数を。

  • 人口10万人に換算した場合の店舗数を計算しています。
  • 多い方については2店舗以上あるところのみで。人口の少ない行政区域だと1店舗あるだけで特異的に大きな数になってしまいまして、そういうのは省きました。
  • 「市」「東京特別区」に限りました。宮城県涌谷町、福島県棚倉町、沖縄県与那原町等2万人に満たない町にTSUTAYAもGEOもあったりする事例もありますが、それも「特異例」として省きました。
  • 少ない方については「0店舗」の行政区域は入れていません。正味過半数の行政区域は「0」ではありますので。その結果、東京都中央区・文京区・千代田区も入っていません。
  • 個室DVDでレンタルもやってるところとかもありますが、そういうのはカウントしていません。具体的にはCDV-NETのレンタル店一覧に掲載されているレンタル店チェーン・店舗をベースとして、その4/1段階での営業店を基準にしました。

■レンタルDVD店の多い市・区
01.鹿児島県出水市:7.69
02.石川県野々市市:6.99
03.富山県滑川市:6.18
04.佐賀県伊万里市:5.70
05.東京都羽村市:5.52
06.新潟県燕市:5.18
07.福島県会津若松市:5.11
08.岐阜県関市:4.69
09.滋賀県長浜市:4.4
10.愛知県半田市:4.24
11.新潟県三条市:4.23
12.新潟県新発田市:4.21
13.沖縄県沖縄市:4.2
14.栃木県大田原市:4.16
15.北海道千歳市:4.08
16.秋田県由利本荘市:4.02
17.岩手県宮古市:3.97
18.茨城県龍ヶ崎市:3.93
19.宮城県名取市:3.81
20.岐阜県大垣市:3.79

■レンタルDVD店の少ない市・区
01.東京都新宿区:0.29
02.東京都目黒区:0.35
03.東京都府中市:0.38
04.東京都港区:0.38
04.東京都渋谷区:0.41
05.神奈川県茅ヶ崎市:0.41
06.東京都世田谷区:0.42
07.大阪府豊中市:0.50
08.東京都小平市:0.50
09.大阪府吹田市:0.51
10.大阪府岸和田市:0.52
11.東京都日野市:0.53
12.愛知県安城市:0.53
13.東京都立川市:0.55
14.東京都北区:0.56
15.東京都江東区:0.57
16.大阪府東大阪市:0.60
17.兵庫県西宮市:0.62
18.兵庫県尼崎市:0.65
19.東京都杉並区:0.68
20.大阪府茨木市:070

思っていたより結果がはっきり出た。
多い方は地方都市多め。感覚的には倉敷市・福山市が多いと思っていたのですが、そこらへんはそれなりに人口も多いので結果として上位20には入りませんでした。

新潟県の市が多いのはまずTSUTAYAの最大手フランチャイジーのひとつ、トップカルチャーの本拠地であること、もうひとつ「ひらせい」というホームセンターもTSUTAYAを運営していて、県内で2つのTSUTAYAフランチャイジーが競うように出店していることが大きいです。
あと、GEOもありますし中堅チェーンのビデオ1も健在、というかなり特殊な状況のため。

野々市市や名取市はそれぞれ金沢市・仙台市という大都市に隣接した都市で、店の名前も「金沢御経塚店」とか「仙台南店」とかそういう感じなのですが、行政区域で切って値を出していますのでこうなりました。

東海地方は三洋堂書店、滋賀県はサンミュージック等、TSUTAYAとGEO以外でレンタルを実施しているチェーンがある地域はやっぱり総数も割と多めだったりとか。

少ない方の上位は完全に東名阪大都市圏だけということになりました。
新宿区は約35万人住んでいるところにGEO1軒だけ。目黒区は約29万人在住でTSUTAYA1軒のみ。港区は今年に入ってから赤坂・新橋の店舗が次々閉店し、六本木蔦屋書店にはレンタルはなく、残っているのは田町の店舗だけ。

<追記>
TSUTAYA 田町駅前店は2020年の改装の時にレンタルやめていて、「0店舗」地域でした。すみません。

世田谷区・豊中市あたりは、かつては多くの駅前に店舗がありましたが徐々に減り、世田谷区は現状で4店で区内最大店舗はロードサイドの馬事公苑店、豊中市も残っているTSUTAYAはロードサイドの上新田店のみ(GEOも1店舗)。
というか、GEOは大都市圏の真ん中には過去からあまり店舗が多くありませんでしたので、そういうところでも大都市圏は弱い。

で、今日こういう記事が出ていまして。

閉店相次ぐTSUTAYAと、堅調なゲオ。逆風のレンタル業界で差がついたワケ

自分がここでずっと言っていたようなことをコンパクトにまとめてある記事ですが、これに対するSNS等での感想を見ていて思ったことは、生活圏によってTSUTAYAの捉え方は違うよな、という点。

大都市圏内が生活拠点の人にとってのTSUTAYAは、SHIBUYA TSUTAYAのような一部大型店舗や「蔦屋書店」名義の店以外では概ね「レンタル専業」店舗を想起するのに対し、地方に生活拠点がある人にとってのTSUTAYAは、レンタルのみならずCD/DVDや書籍雑誌、文具や雑貨等の販売までを行う総合店舗であることが多く。

GEOが全国どこでも概ね「CD/DVDレンタルとゲーム販売」であることと比べると、TSUTAYAは同じ名前でも業態が随分違います。GEOの大部分が直営なのに対して、TSUTAYAは9割がフランチャイズのため、フランチャイジー企業の考え方や地域特性によって変わってくるのは必然ではありますが、そのせいで各人個々のTSUTAYAのイメージも変わってくるわけで。

まあそれにしても、トップカルチャーはこの1年でレンタルをやめることを公表していますし、大都市圏のレンタル専業店はこれからも続々閉店するでしょうし、TSUTAYAの捉え方の差異も徐々に埋まってくるのではないかと思います。良くも悪くも。