Dry Cleaning「New Long Leg」のこと

グランジがブームになる以前のオルタナティブの匂いがするバンドが4ADからリリースしたニューアルバム

NirvanaとPearl Jamを筆頭に、1991年頃から「グランジ」と呼ばれる音楽カテゴリがブームになったわけですが、それ以前からオルタナティブな指向性のギターバンドはたくさんおりまして。
で、グランジの以前と以後の決定的な差異は、ユーモアというか緩さというか、何となく「抜けた」部分の有無だと思っています。

グランジ以前から活動しているPixiesとかDinosaur Jr.とかMudhoneyとかJane's Addictionとかは、そういうどことなく抜けた結果の軽み、ファニーさすら感じられる部分をその音楽性に内包していたのが、NirvanaやPearl Jamは皆無とは言わないまでも成分としては少なめ。
その「純粋に近い」分だけ訴求力も強く、だからこそブームになり得たのであろうとも思うのですが、やっぱそういう姿勢を貫き続けるのはとてもしんどいことで、だからこそ「グランジ」というカテゴリも急速に収束し、当事者もいろいろ大変なことになったりしたのかなあ、と思っています。

そして今、もはや「ギターバンド」というスタイル自体が「オルタナティブ」になってしまった時代に、かつてのオルタナティブの「ノリ」を持ち得ているこういうバンドが、しかもUKから登場するのが面白いなあ、と。
そしてこういう音をフックアップしているレーベルが4ADというのは、もう全くブレてなくて最高です。

「PixiesとかDinosaur Jr.とかMudhoneyとかJane's Addictionとか」って、要するに私の思春期を直撃していますので、まあ単にそういうことなんですけどね。