筒美京平氏が亡くなられたということで、1997年に腹を括って大2枚出して買って、結果大満足した作家生活30周年記念の4枚組×2セットを久々に引っ張り出してきたわけです。
これずっと聴いているとわけわかんなくなってくるんですよ。これ全部同じ人が書いた曲ってありえない。手癖のなさというか、引き出しの多さというか、天才作曲家と呼ばれる方何人かはいらっしゃいますが、その中でも何か他のそういう人には持ち得ないものを持っているというか。
手癖のなさというのはインプットの多さ故だとは思いますが、初期の頃には「パクりだろこれ」と言えてしまいそうなものも正直あります。が、初期を過ぎるともう「たぶん何か海外のもの食ってるっぽいんだけど、完全に消化して出してきてるからよくわかんねえ」みたいな感じになっていて。その「消化」の能力というのは、凄まじいものがあったのだと思います。
自分が彼を強烈に意識したのは高校2年生の時。
日曜日の晩、便所に行ってふと居間を覗くと家族が「サザエさん」を見ていて。その時初めて気付いたんです。
「この主題歌、モータウンやんけ」。
数年間多少なりとも洋楽を聴きかじってようやくその時気付いたのですが、同時に目に飛び込んでくる「作曲:筒美京平」のクレジット。
当然その当時の彼はバリバリ全盛期でいろんな方に書いていた時期でしたので、それらの楽曲と「サザエさん」が結びつかず、ちょっとフリーズしたり。
この時の衝撃というか気づきが、自分の音楽の聴き方の方向性を決定づけたのではないかと、後になって思います。
何を聴くにしてもクレジットを気にするようになったり、楽曲を聴いて「何に影響を受けているか」を考えてみたり。
日本で音楽を聴く人にとっては、どういう形であれ何らかの影響を与えている人だとは思うのですが、自分はそんな感じです。
「サザエさん」以外で聴いた当時一番衝撃受けたのはNOKKOの「人魚」でしょうか。
下がっていくサビメロとか、ミニマムな楽曲構造とか、J-POP的展開に歯向かっているような感じがして。
とはいうものの、どの曲も聴き込んだら発見はあるはずなので、改めて聴き始めたら長くなりそうです。
「人魚」の真っ当なYouTubeなかったので、各自適当に。