レコード屋が移転すること

大都市には所謂「レコード屋地帯」というのがあります。

名古屋は過去から今に至るまで大須2-3丁目か栄3丁目あたりの界隈がまさにそれですが、ここ数年で新栄町や池下にも新しい店舗ができたり、栄にあったStiff Slackが名鉄瀬戸線清水駅近くの高架下のライブスペースを併設した店舗に移転したり、名古屋全体としては中心軸が少し東にずれた感はあります。

大阪は西心斎橋1丁目が圧倒的に中心でしたが少しずつ店が減っていき、逆に四ツ橋筋を挟んで西、堀江のあたりは店舗が少しずつ増えていき、西に中心軸がずれつつあります。昨年12月、心斎橋の老舗TIME BOMBが南堀江に移転したことが非常に象徴的でした。
でも徒歩で行き来できる範囲ではありますし、「徒歩で1時間で何軒のレコ屋を回れるか」のレースを開催した場合は東京以上にここらあたりが日本で一番有利なはずです。

東京の「レコード屋地帯」は、新宿区西新宿7丁目の小滝橋通り界隈と渋谷区宇田川町の通称「シスコ坂」界隈が代表的ですが、ここらへんは新宿レコードが下北沢に移転したり、渋谷のレコファンも閉店を決定したりと、双方全盛期に比べると相当に厳しい状況です。
先日、アーバンライフメトロに書かせていただいたように、今、東京で一番熱い「レコード屋地帯」は下北沢というのが最近の傾向。

ただ、何か東京もここんとこレコ屋移転のニュースがいくつか入ってきています。
まず吉祥寺。

ディスクユニオン吉祥寺、10/2に吉祥寺PARCOに移転オープン

吉祥寺も全席期に比べるとレコード屋の数は減りました。そんな中ユニオンが長年居を構えていた元町通り沿いの2階から移転してパルコのB1階へ。
「パルコのB1階」と言えば、昨年11月に復活オープンした渋谷パルコのB1階に入ったユニオンレコード渋谷店。その縁でしょうか、こういうことになっております。
そしてその渋谷パルコのB1階には更にこの20日、センター街からダンス系専門のレコード店Techniqueが移転してオープンいたしました。

テクニークが渋谷PARCOに1年間限定で移転

1年限定というのは何でだろうと思ったのですが、これパルコによる救済策ではないかとも思いまして。
渋谷パルコが復活した時に一緒にWAVEも復活するよ、という話も聞いて随分テンション上がったのですが、蓋を開けてみたら駅の売店のような極小店でがっかりしまして。

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でもパルコの店内を歩いてみると、BGMがそのWAVEに置いてあった電子音楽のレコードの曲だったりとか、要するにあのWAVEはそこ単体で売り上げを最大化するというのではなく、このパルコのコンセプトを象徴した場所なのだということで、何となく理解したのですが。

で、こういう最近の状況下で店舗の売上も低下して、奥の方の2階とはいえ渋谷センター街の立地でしんどい状況になっていたTechniqueに対して、音楽コンセプト的にも遠くはないパルコが手を差し伸べたのではないかと。

上記、完全に「そんな話だったらいいな」という私の想像です。
殺伐とした渋谷の街にもそんなあたたかい話があると、素敵じゃないですか。