CD店チェーン「ミヤコ」がギリギリなこと

複合書店型を除くと、全国チェーンと呼べるCD店は、タワーレコード、HMV、新星堂、山野楽器。
玉光堂とバンダレコードは会社としては一体化したので、これも全国チェーンか。
また、卸業に近いところで営業し、主にショッピングモール内で撤収したCD店に居抜きで代替店舗として入居する形で店舗を増やしていったBIG、We'sというあたりも一応全国チェーンと言えないこともない。

それ以外にも地方のみのチェーンでまだ「チェーン」の形で複数店舗が生き残っているのは静岡県のイケヤ、京都本店で関西近郊に展開するJEUGIA、四国のDUKE SHOP、熊本県のムラヤマ・レコード、そして大阪を中心に関西に展開していたミヤコがあります。

そのミヤコですが、2020年に入る頃には3店舗体制、それが4月7日にアリオ鳳店が、本来5月までは営業する予定なのを緊急事態宣言を受けた形で閉店、そして先日、2020年10月にイオン大日店を閉店するとの発表がありました。つまりそれ以降残るはイオンモール伊丹昆陽店1店のみ、ということになります。

そのミヤコ、2002年までは大阪・心斎橋の心斎橋筋に本店を持ち、なんばウォーク、なんばCITYにもそれぞれ出店するなど、関西では相当にイケイケな感じのチェーンでした。
1980年代と思われる店舗一覧には以下の店舗名。

心斎橋本店
専門大店
千日前店
尼崎店
泉北店
宝塚店
千里南店
千里北店
堺店
京都店
東京店

という感じの並び。
また、直営店の他にも暖簾分けのような形で各地に「ミヤコ」の屋号のレコード屋が出店していきます。その「暖簾分け」タイプの店舗で今も残っているのは埼玉県蕨市のミヤコ、石川県七尾市のミヤコ音楽堂、兵庫県姫路市のミヤコ。

前述の一覧の「東京店」が暖簾分け店舗として営業し、2013年に閉店した銀座のミヤコとイコールかどうかはわかりません。

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それでも少なくとも企業として「全国チェーン」になる野望はあったものと思われますが、結局関西の地方チェーンとして生きる道を選びます。
1990年代以降、外資系が入ってきてすごい勢いで郊外ショッピングモール型の店舗を増やしていったこともその理由にはあるのだろうと思います。
ネットで拾える最古の店舗網は2000年。

心斎橋店
なんば店(なんばCITY)
なんばウォーク店
泉北店
尼崎店
千里中央店
北千里店
高の原店

以上8店舗体制。これ以降、かなり激しめの出店と撤退を繰り返します。

心斎橋店(心斎橋筋)(1943-2002)
高の原店(サンタウン高の原)(?-2005)
なんばCITY店(?-2008)
千里中央店(センチューパル)(?-2010)
なんばウォーク店(?-2011)
北千里店(北センター専門店街)⇒北千里サティ店(?-2013)
泉北店(泉ケ丘駅北)⇒パンジョ店(?-2017)
尼崎店(尼崎神田中通り5)(?-2017)
京都大丸店(2003-2017)
三宮店(ダイエー三宮駅前店)(2005-2011)
布施店(ロンモール布施)(2005-2012)
塚口店(ダイエー塚口店3号館)(2005-2016)
しんかなCITY店(2008-2008)
堺ヨーカドー店(2008-2011)
高槻店(ジャスコ高槻店 2008-2014)
アリオ鳳店(2010-2020)
イオンモール神戸北(2011-2016)
イオン大日店(2011-2020)
イオンモール和歌山店(2014-2017)
イオンモール伊丹昆陽店(2014-NOW)
ニトリモール枚方店(2016-2016)
モザイクボックス川西店(2016-2019)

何とか10店舗前後の店舗網をキープしていますが、2016年あたりに完全に息切れし、徐々に店舗網が縮小、そして今に至ります。
ということで、本家が残り1となったことで、むしろ暖簾分けの店の方が後まで生き残る可能性が出てまいりました。七尾市のミヤコ音楽堂なんか今やほぼ電機店ですし。

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これまでも地方のチェーンが消えるのを見てきました。一度広げた店舗網が最後また1店舗まで減って、そしてそれも閉店した北海道の国原や富山県のフクロヤ。
店舗網を広げて企業としても大きくなって、その分小回りが利かずに複数店舗持った状態で一気に逝った石川県のヤマチクや香川県のタマル。

もうこういう時代、どれだけパッケージ販売の店がいるかっつったら、正直ここ1年で猛烈にストリーミングに人が流れている感はありますし、今ですらお店の総数は過大ではないかという気もしなくはないのですが、おっさんはやっぱり寂しいです。