イヤホンズ「Theory of evolution」のこと

アニメはわかりません。
あんまり触らないようにしています。自分がオタク気質であることは十二分に理解していますが、理解しているが故に自制が働くのです。
自分はギャンブルや風俗、ネトゲやソシャゲには一切手を出さないと固く心に誓って生きています。手を出した時点で少ない蓄えを全部吐き出して人生が崩壊することがおよそ見えているからです。
同じ理由でポケモンGOやドラクエウォークもやりません。やり始めたら「俺はポケモンマスターになる!」と言いながら会社を辞めてしまう自分が容易に想像できます。駄目です。

そして、だからアイマスにもラブライブも触らないようにしていますし、実在のアイドルではライブにまでは行っても、接触イベントには一切参加しないのです。うっかり接触行って柏木由紀とか須田亜香里クラスのに出くわしたら、その時点で人生終わりになるのわかっていますから。

どれだけ魅力的には見えても、アニメには触らないように生きていますので、声優の歌というのは「声優アイドル」の域を超えて「こっち側」に来たものしかわかりません。
具体的にCD持っているのは水樹奈々・坂本真綾・花澤香菜くらい。歌唱力とか、楽曲のクオリティとかでアニオタ外にまで聞こえがめでたい方々です。

で、今回Twitterに流れてきたのは「イヤホンズの『記憶』がヤバい」という声。とりあえずYouTubeで聴くじゃないですか。で、実際に非常にヤバいわけです。
一人の主人公の女性の3章に分かれた過去のエピソード。そのエピソードごとのサンプリング音とそれぞれの声の表現。それが4分45秒あたりからそれらのすべてが重なってすさまじく多幸感に溢れた怒涛のエンディングにぶち込んでいく。
サウンドプロデュースは□□□(クチロロ)の三浦康嗣氏。ていうかこれ、□□□で得た経験値ほぼ全部ぶち込んでいませんか。

そして思ったのは「この曲を表現するにあたって『声優』であることの必然性」。
例えば演じるキャラクターのCVでの歌唱とかでは必然性ありますが、キャラクター抜きにして「声優」であることがここまで楽曲のコアになっている曲って他に知らないので、すごく感心したのですよ。

これ聴いてアルバムを買うことを心に決め、でも思ったほど近所のCD店には置いていなくて、新宿のタワレコに出向いて今日入手して聴いた。何だこれ。
M-1、インタビューのコラージュで構成された「記録」から「記憶」の流れは抜群。アルバムは全体の半分は過去曲のリメイクですが、もう半分はリメイクとは言えない何かおかしなことになっています。
「記憶」も、過去に三浦康嗣氏が彼女たちに提供した「あたしのなかのものがたり」のアップデート版ということですが、もう完全に別物。

そして「記憶」以上に心奪われたのはM-7「循環謳歌」。
これは新曲なのですが、初回限定盤のCD-2に収録された「忘却」と「再生」という2曲を合成された曲になっていて。
どこまで伝わるかわかりませんが、コーネリアスの「STAR FRUITS SURF RIDER」の8cmシングル2枚組同時再生とか、3776の「静岡」と「山梨」を同時再生して初めて完全な楽曲になる「公開実験」とか、海外で言えばThe Flaming Lipsの4枚同時再生で全容が初めてわかる「Zaireeka」とか、そういうのをここでやっているのですよ。
しかもものすごくシンプルな「歌物」でそれをやる。この曲、すごく心に来るので是非聴いてほしい。ただでさえ心に来る曲でこういうことをやる。素晴らしい。

すごく感動したのですが、でも彼女たちがどういう作品でどういう役の声を当てているのかは知りませんし、でも調べないことにします。
人生が崩壊するかもしれないからです。