THE STALIN「trash」のこと

買うわけですよ、おっさんだから。ディスクユニオンで。

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THE STALINの再発アルバム「trash」が7月5日(日)付のオリコンCDアルバムチャートの1位になったのを見て笑った。
1981年、まだ日本では「インディーズ」という言葉も使われていなかった頃の「自主制作」盤。これの再発盤がデイリーとはいえ1位になった理由にはいくつかあるわけです。

  • 遠藤ミチロウの活動での初のオリジナル・アルバムにして、1981年のオリジナル・リリースとその直後の追加プレスの約3,000枚以外今に至るまで正規の再リリースがなかったこと
  • 歌詞等の内容が内容なので、ストリーミングには解禁されず、CDのみでのリリースであったこと
  • 再リリース日は7月1日ですが、そもそもCD販売に力を入れるミュージシャンももう多くなく、現状でCDでアルバムを買う層はそのミュージシャンの熱烈なファンが多くその販売数がフラゲ日に偏る一方、THE STALINを買う人は年寄りが多いので、フラゲ日に頑張る人もさほど多くなく、結果として日曜日に買った人が多かったこと

それでも、確かオリコンチャートに入った初めてのインディーズのレコードが1985年リリースの有頂天の「心の旅」。ネットのあちこちで「100位以内」って書いてありますが、確か300位まで算出していたフルチャートの200位台だったような記憶。それでも当時は「すごいすごい」という感じになっていて。そりゃNHKもインディーズの特集番組を組みます。

それが今やもはやCDチャートの意味が失われつつある時代、そしてSONYから離れた奥田民生が普通にインディーズチャートに入っていたり、「インディーズ」の枠組も当時とは随分変わりました。
そういう時期を経て、年寄り待望の、コテコテの「自主制作」時代の再発アルバムがインディーズでないCDチャートの1位になる時代。

これも「CD時代の終わり」を告げる象徴的な出来事のひとつ、ということになるのでしょうか。

横にそれると、有頂天はじめとするナゴム勢って、結果として他のインディーズとは異なる異質なムーブメントになっていて、私も大好きでしたが、今振り返ると、遠藤ミチロウとかハナタラシなんか話を聞くだけで恐ろしすぎて近づけないし、パンク勢でもまだまだ怖い、でも世の中の売れ線ではなく何か「尖った音楽」を好きでいたい、という当時の自分のような人間にとってとても都合のよい存在だったのだなあ、と今客観的に思います。
そういう存在だからこそ「ナゴムギャル」的なのが出てくるわけですよ。自分は納得している。