今のAKB系・坂道系のこと

とりあえずこういう世の中で、土曜も無観客ライブをネットで観たりしていました。
で、音楽番組がだいたい総集編になっていく中、ミュージックステーションとか一部の番組はいかに新たなコンテンツを制作して提供していくかいろいろ腐心しているようで、挑戦的な演出や企画も見られ、その創意工夫のプロセスを見るのが楽しかったりもします。

そんな中で、ほとんど見なくなってしまったのがAKB系・坂道系。これまでがやたら出ていた分、その落差がとても激しい。
でも考えてみれば、AKB系・坂道系はその存在からビジネスモデルがおよそ今の状況にアンマッチなわけで。

  • 大所帯が故にステージ上で「密」にならざるを得ない状況のため、グループとしての番組・イベントの出演のハードルが高くなる
  • テレビを筆頭に既存メディアでの露出に相当に依存しているため、番組制作が滞ると出演もてきめんに滞る
  • 最も重要なイベントである握手会等の接触イベントが、現状で以前のように行える目処の立ちようがない

AKB48乃木坂46の公式サイトを見てみると、「乃木坂工事中」はリモート等を使って、その他各メンバーのレギュラー番組は同じくリモートや総集編でこなしているようですが、レギュラー以外でのメディア出演は、AKBなんかSHOWROOMとかYouTubeとか、ほぼ地下アイドル同等のレベルでしか動けていないことがわかります。乃木坂は逆に地下アイドル的な活動を抑制しているようなので、各人のレギュラー以外ほぼない。
雑誌やWEB媒体のインタビューとかはあるので、ただ暇ではないとは思いますが。

それでもメディアとの連携が盤石であれば、ジャニーズのようにミュージックステーションの中で枠を持って各グループを順番に登場させる、なんてこともできるのですが、それもできていない。

これは推測ですが、2020年4月で元々グループとしてはAKSが海外グループの管理に専念することになり、AKB48、HKT48、NGT48がそれぞれDH、Mercury、Floraに運営が譲渡されているが大きいのではないかと考えます。
SKE48は2019年にAKSからゼストに譲渡、NMB48は元々吉本興業の子会社Showtitleの所属、STU48は元々瀬戸内地方の振興を目的とした官民組織の下部企業STUの所属。
2020年4月1日の段階で、国内のAKBグループは全て別企業による運営になっています。

これでグループ一丸となって何とかせえという方が難しいわけで、各グループごとの組織の限られた企画力とコストでもってやるしかない、ということではないでしょうか。

坂道系は、乃木坂46は乃木坂46合同会社、欅坂46と日向坂46はSeed & Flower合同会社、双方SONY MUSIC系列なので、ここは何とかすればできなくはないですが、ただ、こういう関係性もあったりして、要するに秋元康氏がどうこうというレベルではないところでステーク・ホルダーが既に複雑に絡み合っていて、現場の思い付きで何か簡単に立ち上げて実現できるような状況ではない、ということは想像できます。

ただ、じゃあ白石麻衣の卒業コンサートは、当初の予定通りに開催できるまでいつまで待たなければならないのか。いやわかる。彼女の「価値」を最大化するためにスタッフはこの数年本当にいろいろ仕掛けてきて、その集大成が卒業コンサートということですので、ビジネス的にマストだということはわかる。でも、じゃあそれまで彼女はずっと今の中途半端なままなのか。
そもそもAKB/坂道ともに幕張メッセに大行列の握手会というイベントは、今後容易に可能になるのか。当面不可能であると判断するのであれば、新曲をリリースすることにどこまで(ビジネスとしての)意味があるのか。とすると今後どういう活動になるのか。

正直、ビジネスとしては圧倒的に「よくできた」モデルですから、拡大再生産したくなる気持ちはわかる。俺もその立場だったら絶対そうする。
でもそれは結果としてビジネスとしての多様性に乏しい「モノカルチャー」的なところにハマってしまい、そのツケが今一気に来ています。

もう少し落ち着いた時、どう変えるのか。変えないのか。
というか、既存メディアがこの後どう動くかによっては「変わらざるを得ない」状況になるのかもしれませんが。