代代代@味園ユニバースのライブのこと

9月14日は大阪・味園ユニバースまで、代代代のライブを観に行ってきました。
アイドルのライブのために遠征というのが生まれて初めてで、好きなグループはいてもそこまで思い入れを持ったグループは多くなく、いてもこれまでは全て東京かその近郊を拠点としていましたので、こういうことってなかったんですけど。

実際音源は町田のヴィレヴァンまで出向いて全部入手しつつも、ライブは過去2度しか観ていない。今年2月の東京ワンマンも何やかんやで行けずじまいだったし、友人に大阪まで観に行くと言った際も「そんなに好きだったっけ?」と問われるレベルであることは間違いないわけです。


オタクの皆様におけるアイドルグループに対しての「オタ活動」というものは、そのグループが生まれ、育ち、変わっていく過程、そのストーリーを見届ける行為だと思っています。モーニング娘。がスターになったのは、「生まれ、育ち、変わっていく過程」を大勢が毎週テレビでつぶさに見届けられたためだと思いますし、自分も一時はももクロにハマり、2011年2月にSHIBUYA-AXで初めて生のライブを観て、2012年8月の西武ドームまでは公式な有料公演は全部行くくらいに彼女たちが育ち、変わっていく様を見届けました。

それ以降は、アイドルシーンも含めて俯瞰的に観る方針に徹し、どのグループとか推しが誰とかなく、ただ「楽曲がいい、面白い」というその楽曲だけを追ってきて、代代代もまさしくその一環で見つけ、評価していたつもりでした。
ただ、彼女たちの「ストーリー」の一部に、私がうっかり乗ってしまったんです。しかも何の作為もないストーリーに。そして大阪まで行くことにしました。


代代代に宇野祐生佳さんというメンバーがいます。彼女は今年の1月いっぱいで体調不良のため「活動休止」となり、一切のライブ活動をやめました。特典会のみ参加することはありましたが、ライブのステージには一切立っていなくて。
でも「脱退」はせず、それで何をしていたかというと、料理をしたり散歩をしたりする様を録画し編集し、それに自分が立たないグループの次のライブの告知を入れた動画の作成。
それも「来てね!観てね!」という跳ねたノリの一切ない、というか本人の顔さえ出てこない恐ろしいほどに淡々とした空気のそれ。最初は面食らいましたが、ただ、何とかしてグループとしての活動に関わっていたいという切な気持ちだけは無闇に伝わってくるヤツで。そして、後にはそのノリで彼女が撮影した動画がまんま新曲のMVになったりもして。

結局彼女は普通に復帰することのないまま、9月14日のライブ告知と共に彼女を含む3人のそのライブでの卒業が告知されました。しかし、宇野さんはグループは抜けるが所属のDAMON TAPESは辞めない、みすゞさんも裏方としてDAMON TAPESに残る、という発表を目にし、またいろいろ考えるのです。
3人中2人は結局グループは抜けるがそこにい続ける。事務所が拡大するにあたって既存グループのメンバーを新グループにあてがうとか、そういうのはありますが、こういうのは自分の知っているアイドルグループのメンバーの進退としてはあまり聞いたことがない。何なんだこれは。

そういう、諸々のあまりにも作為の無さ過ぎる、でも明確なストーリーを目にしてしまった結果、これは多分観ないと後悔すると思ったのです。

f:id:wasteofpops:20190917001539j:plain

ライブは本当に素晴らしいものでした。今回に限っては自分に感情のバイアスがかかっていることは間違いないので、無闇に「最高!」とは言いませんが、それを抜きにしても過去2回観た彼女達とはもう別者のようです。私が1年近く観ていなかった間に練度が上がったのか、今回の確変なのかは通して観ていないのでわかりませんが、パフォーマンスとしても文句の付けようがなく、ワンマンならではの演出もものすごくハマっている。
まさかライブでやるとは思っていなかった、音源を聴いた時に「Throbbing Gristleじゃねえか」と評した「凶ペ」はトラックのアタック音が強調された結果、本当に禍々しいし、アルバム「むだい」の音楽的なコアに当たる曲「歪んだ歪み、歪んだ歪み」は後のMCで宇野さんが「優しい地獄」と評した通りの状況。音源を確実に超えてくるライブ、いただきました。
そして、楽曲のぶっ飛びっぷりはあるものの、楽曲に合わせて突飛な恰好やメイクやパフォーマンスをするのではなく、それ以外は極めてオーソドックスな、正しく可愛く正しく愛おしいアイドルグループだということも改めて理解して。

本編は5人でのパフォーマンスでしたが、アンコールで遂に宇野さん出てきて正しく6人グループになる。だからここで泣きそうになってしまうのは完全にストーリーに乗っけられてしまったからなんだけど、もう抗えない。本編は後ろの方で見入っていたけど、もう前に出ちゃう。みんなの表情が見たい。
最後のMCも、唯一本当に去る六花さんの挨拶がサラっとしていたこともあり、湿っぽくなりすぎず、そしてアンコールも「むだい」でその前のいろいろを全部リセットしてしまった名曲「ワールドワイドハピネス」で締め。この曲のそういう「強さ」は本当にすごいと思う。小倉ヲージ氏曰く、この曲は自分がバンドでやってた時代の曲だということですが、この女の子達のフォーマットに乗ることでとてつもなく輝くんだよ。うん、本当によいライブでした。

私は、ハマってしまうと小原庄助的に人生に重篤な危機を迎えかねないため、ギャンブルとネトゲとソシャゲとアイドルとの接触には近づかないと固く戒めているため、その後の接触イベントはパスして味園ユニバースを後にしましたが、今回くらい「行くかどうか」考えたことも過去にない。だからストーリーに完全にハメられたのです。そういう意味でも代代代は「強い」グループです。
10月、新メンバーのお披露目があるようですが、さすがにそれで大阪まで行くのはないにしても、でもやっぱり音源だけでなくパフォーマンスまで追い続けるべきだと、それは強く思った次第。


で、彼女たちのために大阪まで行ったわけですが、そこはそれ空き時間に通常業務は行っておりますので、ぬかりはありません。ていうか、明確にいつ閉店したのかネット上ではよくわからなかったので、これはこれで行ってよかったです。

f:id:wasteofpops:20190914154122j:plain