最近のHMVのこと

最近タワーレコードか新星堂の話しかしないのでたまにはHMVの話もしようと思いました。

まずは国分寺の店の閉店

HMV単独名義での新店舗は、既に閉店してしまったHMV広島本通(2014年開店、2017年閉店)のオープン以降なく、HMV&BOOKSという複合書店形式かHMV record shopというアナログ特化型だったのですが、国分寺のこの店舗はhmv BOOKS store名義、完全に書店に寄せた業態であり、行ってみたらCD/DVDの取り扱いはレジ近くの小さな棚ひとつ分だけという、なかなか割り切った感じでビビりました。それがオープンからものの1年で閉店と相成ったわけですが。
ただ、この閉店の場合は「そういう業態がダメなんだよ!」と一掃できない事情があります。これ。

f:id:wasteofpops:20190309111402j:plain

1年でこれだけテナント入れ替わっているわけです。見に行った時にはさらにもう1店閉店セール中。要するにこのミーツ国分寺という施設そのものの集客力に問題があるということで。
ミーツ国分寺は国分寺駅北口の再開発でオープンしたのですが、元々南口には9階丸ごと商業施設の駅ビルがあってそっちでだいたい揃うのに、何で後からさして店の数も多くない4階分の商業施設出してきたのか、そもそもわからないのですが。


HMV新宿は、元々新宿駅の駅ビル内に大きな床面積で展開していましたが徐々に床面積が削られ、先日までは6階の片隅でコンビニ以下の床面積でひっそりと営業していました。それがいきなりB1の地下道の途中に垂直移転、こちらはHMV&BOOKS SPOTという名義で3月7日に営業を始めました。

f:id:wasteofpops:20190327231146j:plain

「HMV SPOT」という名義では、表参道にコンビニとの合同店舗を出したり実験をしていたのですが、結局今も生き残っているのは大阪・あべのキューズモールの店舗のみ。
笑うくらい小さな店舗ですが、駅と地下街直通という場所ではありますので、明確に好きなミュージシャンがいて予約して購入するような方であれば、ビルの上の方に行かなくてもピックアップできるため、それなりの利便性で今も生き残っているのではないでしょうか。
今回の新宿の店もその知見を踏まえて、正味6階にあったとき以下の床面積ですが、そういう利便性でもって生き残りを図ろうとしているのではないかと思います。


去年の3月にできたHMV & BOOKS HIBIYA COTTAGE。HMV&BOOKS業態の中でも「女性向け」を謳った店舗です。
日比谷・有楽町界隈の書店は、有楽町駅前に三省堂、霞ヶ関寄りにジュンク堂、銀座の方には銀座 蔦屋書店。何とかして特徴をアピールしないことには生きていけない地域です。
で、書店として完全にそっちに寄せた結果、店舗全体の床面積の1割程度にしかならんCD/DVDエリアも、場所柄演劇や映画系厚め、あとは売れ線と子供向けと特集の棚で小規模にシティポップスを展開する程度という感じで。
HMVと聞いて総合ショップを期待して行くと大幅に肩透かしを食らいますが、生き残るためには仕方がない。
ただ、日比谷・有楽町界隈で新譜CDを購入できる店は実はここだけで、銀座にも今や山野楽器本店しかありません。銀座 蔦屋書店は、日本刀は売っていてもCDは売っていません
要するにこの日本有数のハイソ地域にはもうほとんどCD/DVDの需要はないということです。外国人客も非常に多いですし、わからんでもない。


「今CDが売れるジャンル」に絞って注力し始めたタワーレコード、RIZAPに買われて少しずつ店舗数が削られていく新星堂、BtoCからBtoBに舵を切ろうとしているTSUTAYA、総合リサイクルの大規模店舗に活路を見出そうとしているGEO。

HMVはそれらに比べると大きな動きというのはないのですが、アナログに寄せ、書店に寄せ、かつその書店としても地域性に合わせ、利便性を上げ、と、細かいチューニングによって当面のところを乗り越えようとしている感じがします。ただ、その先に何があるのかというと、今のところは「延命」でしかないのはタワーレコードと同じ。

一方、ここ数年CD/DVD販売についてはほとんど動きのない山野楽器は、楽器や教室が堅調なんだろうと思いますが、やっぱ屈強な「コト消費」持ってると強いわ。