Pale Waves「My Mind Makes Noises」のこと

Pale Waves / My Mind Makes Noises

ようやく届きました、ファーストアルバム。
何かのインタビューで「ティム・バートンの映画を音楽にしたようだと言われた」的なこと言ってて、それ上手いこと言うなあと思ったのだけど、いざアルバム聴いてみると随分と具合が違う。
そして気付く。こいつらが「ダーク」とか「ゴシック」とか言われてるけど、それ見た目だけじゃないか。メロディはどポップ。アレンジはキラキラのシーケンスに彩られ、歌詞も若い女の子のラブソングが中心。音だけ聴くと暗い部分ほぼ皆無。

それでもうひとつ気付いたのが、自分このバンドって、YouTubeで視聴して、その後サマソニで生で観て、要するに絵面抜きで接したの今回が初めてなんですよ。そりゃ違和感もあるわ。そして昭和40年代生まれのおっさんでもそういう音楽への接し方になってしまう今の世の中って恐ろしい。

このバンドはThe 1975と同じDirty Hitsレーベルなのですが、非常に理解できる。80年代UKの音楽のパーツをガシガシ使いまくりながら、全体像としては「いや、でもこういう音実際80年代にはあんまりなかったべ」と思ってしまうようなあたりに落とし込まれていて。
一部は実際The 1975のメンバーがプロデュースしていますし、そうなるのは必然なんですが、現代の王道から微妙に外しながらきっちり立った音にしてくるの、本当にうまい。

なので、アルバム全体ポップで非常に気持ちよく聴けるんですけど、ただ、こういうスタイル込みでバンドのアイデンティティ前に出してしまったら、この先の身の振り方の選択肢は随分と狭そうで、あとは今作を凌駕するレベルの狂ったようにポップでキャッチーな曲を世に出してその1曲で勝ち抜くしかないような気がして、そこがちょっと気になるのよ。