sads×BiSH、ドレスコーズのライブのこと

15日(金)はsads×BiSH@恵比寿リキッドルーム、16日(土)はドレスコーズ@新木場スタジオコーストでした。

前者はsadsの主催ツーマンに何故かBiSHが呼ばれたヤツで、もうこのクラスのキャパの箱で彼女たちを観ることもないと思い。
双方のファンの属性を考えた場合、何となく「混ぜるな危険」な感じもしたのですが、蓋を開けてみれば会場のおよそ8割がBiSH目当て。もう喧嘩にもならん。

BiSHはもう安心安定のパフォーマンス。もう全力でやってるという感じでもないんだけど、それでこのレベルにまでいくのかよ、という感じ。アベレージがぐいぐい上がってます。

しかしやっぱり今回はsadsが最高でした。
基本的にゴリゴリの音であり、清春兄さんも「歌い上げる」タイプのフロントマンではないため、どうなるかと言うと「アジテーターとしての清春の能力」が如何なく発揮されている様をまざまざと見せつけられるわけです。
煽って吠えてアジる。場がアガるアガる。オーディエンスはサーフで転げまくる。もう笑えてくる。ああ、こうやってこの人は30年この界隈で生きてきたのかと思うと胸が熱くなる。
しかもMCは完全に「おもしろおじさん」として完全に狙って笑わせに来る。何だこのギャップ。最高じゃないですか。
ただ、仁王立ちして両手で中指立てるのは、ここ昨今の世相に照らすとポプテピピック感が出てしまい、そっちにもおもしろ要素が加わってしまうので注意した方がいいと思います。

ドレスコーズは前回はアルバム「平凡」ツアーのまるで「Stop Making Sense」のようなステージを観て感銘を受けたのですが、今回は「三文オペラ」の音楽制作を挟んでのライブでありまして、もう面白いくらいに前と違う。
一応全てマリーズ時も含めての既発曲ではあるのですが、アレンジを変え、歌詞と歌詞を曲間のダイアログで繋げていくことで、ひとつの物語を紡いでいく、ほぼ演劇、オペラのようなスタイル。というか、既存の何に一番近いかと言えば中島みゆきの「夜会」です。
いや、何か本当にぐいぐい引き付けられている間に終わった。

アンコールの拍手が始まったとき「いや、これはこれでこの余韻のまま終わってもいいんじゃないかな」とも思ったのですが、志磨くん出てきたらそりゃ観る。
そして「三文オペラ」にも参加していた小島麻由美とその楽曲を歌ったりしているのを観ながら「ああ、これってものすごく正しいアンコールだ」と思ったんです。
がっちり完成された本編とそのエクストラとしてのアンコール。あれです。映画のDVD買ったら時々特典ディスク付いてくるじゃないですか。あの関係性。

以前「志磨くんがロックスターになれなかったら今の日本で誰がなるんだ」ということを言っていましたが、正味もうそういうのどうでもよくなりまして。
今の志磨くんはその時々で最高だと思ったことをすればよく、別にスターじゃなくてもやってることが最高だったらそれでいいです、もう。
今回のこれでもう今後「どんな音を出しても許される、ファンが離れない」状況になりつつあると思うので、むしろ今後こそ最強ですよ。
というか、こうなったら毎回ツアー観に行かないといけないじゃないか。