杉山清貴 / MY SONG MY SOUL (Album)
勧められて聴いたのですが、思った以上にずっとよくて聴き込む。
考えてみれば、彼くらいの年代、80年代初頭にデビューしてずっと一線のミュージシャンってそれほど多くないような気がして。佐野元春、安全地帯、スターダスト・レビュー、チェッカーズからの藤井フミヤ、シャネルズからの鈴木雅之。あと誰だろう。まあそりゃ淘汰もされるでしょうけど。
角松敏生、モッズあたりは途中で休み期間があったし、ハウンド・ドッグみたいにどうなったのかよくわからんのもいるし、ロッカーズやら子供ばんどやらアラジンはもう主に違う仕事してるし、鬼籍に入られた方もいれば、塀の中に入られた方もいますが。
特に当時はまだ権威はあったはずのヤマハのコンテスト出身のミュージシャンが、華々しくデビューまではするもののそれ以降人気が長く続かなかったりするようになり。代わりに世の中がソニーの方にアジャストしていき、1983年の尾崎豊のデビューや佐野元春のヒット以降それが顕著になっていくわけです。
杉山清貴は、きゅうていぱんちょす名義で出場した1980年のヤマハポプコンで入賞したことがきっかけで、杉山清貴&オメガトライブとして1983年にデビューし、それ以降いろいろありましたが、今は当初ほどドカンと売れなくはなったものの、アルバムはデビュー以降3年以上の間を開けずリリースし続け、ライブも中には「80年代懐かしのメロディ」的な合同コンサート等ありつつも鼻が出るくらい精力的に続けています。
で、今回このアルバムを聴いて強く感じたのは「王道感」。
最近はシティポップ的な音を出す若いバンドも増えてきましたが、中には「その手のサブカルに受けそうな音」として敢えて出すような輩もいるように思います。
それがもう彼はシティポップなんて言葉が広まる遥か以前から35年やり続けての完全に血肉化されての今、けっこうジャンルや曲調はいろんなことやってるのですが、もう何をしてもブレの一切ない状態。そういう状態で鳴らされ歌われるわけですから気持ちよくないはずがないんですよ。
そしてこのアルバム、録音がすごくいい。それだけで気持ちいいレベルでクリア。リマスターがアビーロード・スタジオというところもありつつ、ここらへんに妥協がないところも、とても「らしく」思います。
ということで、最近はジュリーやらユーミンやら陽水やら拓郎やら、古い方々のライブにも行くようにしているのですが、彼以外の伸び悩んだ組も含めて「70年代後半〜80年代ヤマハ出身者」の再評価をもう少しきちんと行わねばならんという気になってきました。
とりあえず彼と、その時代のポプコン出身でほぼ唯一当時から基本的に形態を変えずに活動を継続しているスターダスト・レビューのライブでも行くか。