代代代「戌戌戌」のこと

代代代 / 戌戌戌 (Mini Album)

関西拠点で活動中のアイドルグループ。先日のギュウ農フェスに出演してたんですが、その時は全く存在を知らず、というか同行者と「これ何て読むの? よよよ?」とか言ってた始末。
そしてちょうど今「現役女性アイドルグループの有料単独公演の最大キャパ」の最新版の編集中なのですが、その調査中にひょいとこの名前が出てきたため、試しにYouTubeで聴いてみたところ椅子から転げ落ちる。出てくる楽曲が悉く頭おかしい。
慌てて翌日タワレコに走って音源購入した次第。

性急なリズム多めの電子音楽ではあるのですが、そこに収まらない楽曲構造とそこここで超キャッチーなメロディ。そして何がしかの意味はありそうな気もするけど全くわからない、ひたすらに「その時々のメロディやリズムに沿った発語の快感」を狙ったようにしか聞こえない謎の歌詞。
歌い出しの歌詞が「自然薯」ってどんなアイドルだ。

作詞作曲編曲は小倉ヲージという男性。数年前に細胞少女という一人アイドルユニットの楽曲提供を行い、現在は代代代の他にネムレスというユニットにも楽曲提供している模様。ネムレスの方は「ZIGZIGスプートニク」という楽曲のタイトルから想像できるようにニューウェイブ寄りの楽曲を、そして代代代には比較的エッジの立った曲を中心に提供という感じの住み分けか。
とにかくこんな作家性の塊みたいなブツをアイドルの楽曲として成り立たせているのがすごい。何を食ったらこうなる。

そして事務所のDEMON TAPESも曲者臭い。そもそも「代代代」というグループ名称が、アルビニ先生の制作でアルバムを出したこともあるニュージーランドのポストパンクバンドDie!Die!Die!から拝借してきたのではないかと推測されますし、あと音源以外のTシャツやらグッズも含めて通しのカタログ番号付けてるのは間違いなくFACTORYレーベルへのオマージュ。
何かいろいろと穿って見ることができて面白い。

ただ、今「現役女性アイドルグループの有料単独公演の最大キャパ」の最新版を作ってて痛感するのは、ここ数年「地下は地下のまま死ぬ」確率が高まっていること。今新たにグループを立ち上げて上に行くためには地道な活動では困難で、「初期にそれなりの資本を投下して認知を即上げする」か「すでに認知があるグループの妹分的存在にして同一ブランドの中で売る」か「解散したグループのエース級を引っ張ってきて最初からオタクが付いた状態でデビューさせる」かしかないんじゃないかと思うのです。特に首都圏以外の地方は不利。
それでもPerfumeは中田ヤスタカの、ももクロの初期においてはヒャダインのそれぞれ作家性によって、強烈に他と差別化できたことが今の位置に至る要因であったことは間違いなく、2018年の今まかり間違ってそういうこと起きねえかなあとか思ったり。小倉ヲージ氏の作家性は一般受けするものではなさげなので、せめてサブカル受けするくらいのところまでは。
とりあえず、一度現場へ行こう。

Die!Die!Die!の方もかっこいいのは間違いない。