松任谷由実@東京国際フォーラムAのライブのこと

22日は「観に行けるうちに観ておけ」シリーズ、松任谷由実の宇宙図書館ツアーの最終日@東京国際フォーラムA。

今回のツアーは彼女史上最長のロングツアーということですが、それ要するに全盛期まではある程度の会場数で回っていて、大ブレイク後はでかい会場に一気に集客するスタイルになり、そして今、CDが売れなくなって興行にシフトしようとしたもののそもそもライブ動員にも全盛期ほどの勢いがなくでかい会場埋められるのか微妙なので、自分から地方にも出向いてみました的な、やや悲哀も感じられるツアーでして。

もうもちろんでかい会場に水槽用意してシンクロナイズドスイミングのオリンピッククラスの人がその中で泳ぐみたいなスケールはもう期待できません。
でも、国際フォーラムという箱の中でできるかぎりのエンターテインメントは全部ぶち込んでみました的な楽しさは健在で。凝ったセット、踊りまくって空中まで飛ぶダンサー、すごい勢いで着替えては「今度はそこから出てくるんだ」的にあちこちから出没するユーミン自身。
予算規模は変わりました。でもその中でどこまで観客を楽しませるかという姿勢は寸分の狂いもなく。本当に素晴らしいショー。

考えてみれば歌とトークで楽しませる「コンサート」を、様々なエンターテインメントと融合させて「総合ショー」的なところにまで持って行った先駆者が彼女なわけで、その貫禄はもうさすがとしか言いようがなく、本当に、心の底から楽しい2時間半でした。
そして、散々凝ったショーを観た後の最後のアンコール、演出もなく、ただ武部さんのピアノだけで歌う「卒業写真」の何と素晴らしいことか。どれだけ凝ってもやっぱりまず最初に歌ありきなのだという、基礎の強靭さまで見せつけられて。

歌は、全盛期のような伸びやかさはもうありません。それでも今回のアルバム聴いたときの微妙な不安感は実際聴いてみたらあまりなく、正直思ってたよりずっといい。それはロングツアーの賜物か、そのツアーにあたって相当なトレーニングを積んだのか、その両方か。それでも、どれだけの研鑽を積んだうえでこのツアーに臨んだのかと考えると、やっぱり彼女はプロ中のプロなのだなと思う次第。

彼女はこれからも現役で居続けるとは思うのですが、ただ今回安室のような事例が出てきてしまったがため、「観に行けるうちに観ておけ」シリーズのスピードを上げた方がいいのかどうかというところをちょっと考えています。

というか、安室の前回のツアーは全国津々浦々ホール中心の100公演というロングツアーだったわけですが、あれは悲哀ではなく既に諸々踏まえた上で日本中に「挨拶」しに行ったのだと考えると非常に合点がいきます。