The National「Sleep Well Beast」と安室奈美恵のこと

安室奈美恵など、大物アーティストによるアニメ主題歌が増えているのはなぜ

うーん。増えてるって例に出てるの安室と氷川きよしだけなんだけど。
ジュリーとゴダイゴの場合は「アニメ主題歌」ではなく「それなりの規模で配給される映画の主題歌」だったからで、倉木麻衣は単にコナンの主題歌枠をBeingが持っていたからで、氷川きよしとあとはガンダムにおけるGACKTとかは作品のファンだからで、今回の安室の場合は、彼女の喫緊の課題が「新たなファンを呼び込む」ことであり、それにはもう視聴層の幅が狭いドラマよりも商品のターゲット層にしか届かないCMよりも、「ワンピース」のコンテンツ力の方が勝っているから、という判断じゃないかと思うのだけど、どうなんでしょうか。

というか、SUITE CHICから「PAST<FUTURE」あたりまでの安室は音楽的に攻めまくっていて、本当に和製BEYONCEとかそういうレベルに行っちまうんじゃないかとドキドキしながら見ていたのですが、随分と落ち着いてしまって残念です。

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The National / Sleep Well Beast (Album)

すごくいい。
いつの間にやら世界的なバンドに上り詰めた彼らですが、デビュー以降大きな方針変更はないわけで、それでも今回はあらかた定まったバンドの「型」からどう抜け出そうかという様々なトライの痕跡はそこかしこに見え、それなりに結果出ているのではないかと思うのです。
これまで何か一つの楽器を突出させてというよりは全体で聴かせ続けてきたバンドではありますが、相当に「調和」と「生音」にこだわった感じの前作から一転、これまで最強にギターの音がでかい曲とか、変なシーケンスがそこかしこに出張りまくってる曲とか、何がしか探りつつ答えは出てはいないもののそれなりの形にまではしてきた感があります。
「Fake Empire」のような一発ノックアウト曲は相変わらずありませんが、それでもアルバムトータルとしては彼ら史上最高ではないのかと思います。

もう一声行ければR.E.M.にとっての「Automatic For The People」になれたかもしれない、と思えるアルバムです。次回もう一声を強く強く期待する次第。いける、いけるぞ。
あとはまた来日してほしいんだけど、現状で相当な欧米との人気格差が生じているので、前みたいに渋谷duo music exchangeみたいな小箱ではやってくれそうもなくて悲しい。