TSUTAYAの閉店ジェノサイドとその他CDチェーンの動向のこと

ここ数か月、TSUTAYAの閉店っぷりがジェノサイド状態です。
以下、確認できた限りの7-9月のレンタル・複合書店・新古書店/CD店の閉店状況。

2017/07/02 TSUTAYAすみや 袋井店
2017/07/02 GEO 札幌ディノス店
2017/07/02 ヴィレッジヴァンガード ゆめタウン大竹店
2017/07/02 ブックマーケット 尾西店
2017/07/02 ブックマーケット 東浦店
2017/07/02 ブックマーケット 北岡崎店
2017/07/09 TSUTAYA 天童バイパス店
2017/07/09 BOOKOFF 町田金森店
2017/07/09 メディアステーションポパイ 飯能店
2017/07/09 メディアステーションポパイ ライベックス川崎店
2017/07/09 ヴィレッジヴァンガード 高松アッシュ店
2017/07/14 TSUTAYA 東大竹店
2017/07/14 TSUTAYA 中条店
2017/07/17 GEO 豊川インター店
2017/07/31 TSUTAYA 東武みずほ台店
2017/07/31 TSUTAYA 東十条店
2017/07/31 TSUTAYA 等々力店
2017/07/31 TSUTAYA 茨木店
2017/07/31 BOOKOFF 丸亀店

2017/08/06 ブックセンターいとう 恋ヶ窪店
2017/08/16 TSUTAYA 北14条光星店
2017/08/20 TSUTAYA 東鷲宮駅前店
2017/08/20 TSUTAYA 東長崎店
2017/08/20 TSUTAYA 外環羽曳野店
2017/08/20 GEO 福岡小笹店
2017/08/20 本の王国 浜松雄踏店
2017/08/20 カメレオンクラブ 神奈川海老名店
2017/08/20 ビデオプラザ(深谷)
2017/08/20 ブックマーケット 直方店
2017/08/23 三洋堂書店 志段味店 レンタルコーナー
2017/08/27 TSUTAYA 松本庄内店
2017/08/27 TSUTAYA 岡崎欠町店
2017/08/27 三洋堂書店 阪南店
2017/08/28 TSUTAYA 寒川店
2017/08/31 The News TSUTAYA 多摩センター店
2017/08/31 TSUTAYA 山科駅前店
2017/08/31 TSUTAYA 尾浜店
2017/08/31 ヴィレッジヴァンガード 大津パルコ店
2017/08/31 三洋堂書店 市橋店 レンタルコーナー
2017/08/31 ブックマーケット 柴田店
2017/08/31 ドラマ 吉祥寺サンロード店
2017/08/31 古本市場 名谷駅前店
2017/08/31 BIG BEN 赤塚店

2017/09/15 TSUTAYA 東海大学前店
2017/09/15 カメレオンクラブ 宇部西岐波店
2017/09/18 TSUTAYA 村松原店
2017/09/18 ブックセンターいとう 平間店
2017/09/30 TSUTAYA 池下店
2017/09/30 TSUTAYA ヨークタウン山田鈎取店
2017/09/30 ブックサーカス トツカーナ店

2017/07/23 新星堂 飯能店
2017/07/25 オトノマド
2017/07/31 ヤジマレコード 本店
2017/08/13 ディスクステーションAWA
2017/08/27 玉光堂 イオンモール札幌平岡店
2017/08/28 HMV広島本通
2017/08/31 タワーレコード 大津店
2017/08/31 逗子レコードショップ
2017/08/31 Super BRock Record
2017/09/10 TOWERmini アリオ松本店

きっと9月の閉店は今後も続報が続くでしょうし、この多さは過去にないレベル。かつ、TSUTAYA率の高さがハンパない状況で。

昨今、各店舗チェーンは様々な業態の多様化を行っています。

■タワーレコード
・アパレル・グッズ販売の強化
・カフェ形態の店舗の増加

■HMV
・HMV&BOOKS形態の店舗立ち上げ
・record shop形態の店舗立ち上げ

■山野楽器
・新星堂からROCK INNの権利を取得
・音楽教室の強化

■新星堂
・ROCK INNの権利を放出
・盛岡にカフェ形態・イベント可能な店舗を出すも1年で撤退
・スマホ修理等の業態を新規導入

■TSUTAYA
・大規模な蔦屋書店/蔦屋家電名義の総合店舗の強化

■GEO
・中古スマホ販売の「mobile」形態店舗の強化
・衣服等の総合リサイクル店「セカンドストリート」店舗への転換

■BOOKOFF
・大型総合リサイクル店舗「SUPER BAZZAR」形態店舗の強化

TSUTAYAの場合この閉店っぷりから考えても、ただ不採算店を切っているというよりかは、もう今の「ご近所のTSUTAYA」形態の未来に希望を持っておらず、蔦屋書店/蔦屋家電の方向をさらにどんどん進めていくのではないかと思います。言い換えれば「ケ」のビジネスから「ハレ」のビジネスへのシフトです。

会社・学校帰りに気軽に寄ってちゃりんちゃりん小銭を落としてもらうタイプの店ではなく、わざわざそのために来てもらう店、滞在時間を長くして高価格帯の商品も揃えて一人あたりの消費を最大化する方向。


BOOKOFFのSUPER BAZZARへの転向は随分前からそういう傾向で、総合店舗化の目論見としては他より早かった感はありますが、BOOKOFFの場合「買い取り」がボトルネック。
ほとんど値付けには期待できないことは一度でも買い取りしてもらった方ならご存知でしょうが、それでも多くの持ち込みがあるのは「わざわざ送ったり遠くの店まで行くのが死ぬほど面倒臭い、近所にあって楽だから引き取ってもらえるだけでよくて値段はあまり気にしない」という属性にニーズが確実にあるからでして、ご近所小規模店舗を全潰しして大型店舗に統合するという割り切りは極めてしにくいはず。

ただ、現在新品のCD・DVD・書籍の販売数が減っておりまして、今でさえ例の通りBOOKOFFのCD売上年間ランキングは10年以上前にリリースされたブツが界隈をぐるぐる回っている状態。
上流が枯渇すれば当然下流まで水が流れてくることもなくなるため、中古CD・DVD・書籍の扱いは近々で大規模ビジネスとしては限界を迎えるはずです。正味のところ企業として「いつ手を引くか」というタイムリミットはけっこう近づいているのではないかと思っております。


先日大赤字の決算を叩き出したタワーの方向性はアパレル等の利益率が高い商品を揃えること、あとカフェ形態の場合は「コラボカフェ」という形で様々なイベントを行っていますが、それはBtoC販売以外、BtoBでの収入を得る手段としての展開であることは間違いありません。
それでも都市部の商業ビル潰れますし、新しい商業ビル建ってもCD店お呼びかかりませんし、親会社セブンアンドアイは大規模モールの新規出店諦めましたし、結果ばんばん店舗数減っていてヤバいです。


HMVは音楽という枠の中での多様化の方針ですが、record shopはそもそもずいずい店舗増やして大きな商いができるという形態ではありませんし、HMV&BOOKSはそうでなくても正直苦しそうです。
先日渋谷の店舗を久々に見てきましたが、同じテーマの書籍とCDとDVDと雑貨を同じ場所に置く混在陳列的な展開はオープン当時よりはずっと縮小されていて、渋谷系の書籍と渋谷系のCDが並んでいたり、乃木坂のCDの隣にメンバーがモデルをやっているファッション誌が置いてあったりの、気の利いた複合書店なら普通にやっていそうなレベルに。目論見が頓挫している感ありありです。

HMVはローソングループの傘下に入って以降、HMV SPOT等の小規模店舗以外は一切店舗を潰さずにここまで来たのですが、この8月28日、遂に通常店舗の閉店が出ます。しかも3年前にけっこう鳴り物入り感ある中で復活を遂げた広島の店舗。これが変な口火にならないことを祈っております。


山野楽器は音楽教室と楽器販売があるので、生きていけると思います。「モノ消費からコト消費へ」なんて言いますが、楽器買って教室に通うなんて元祖「コト消費」みたいなものですし。
京都の小規模CDチェーンだったJEUGIAなんかはカルチャースクール業にまで手を出して、現在CD販売店舗は6店にまで減ってもそっち方面はもう全国規模の教室展開ですし、そりゃそっちの方が儲かるに決まっています。


GEOはこの先どうしたいんかわからん。セカンドストリートへの転換つっても店舗を大規模化するわけでもないですし、「着るものは電子化できないから大丈夫そうなこっち行っとけ」程度の意志しか見えてこないのです。他の大企業がそこのパイを切り取りに来たら死ぬかもしれない。

新星堂はもっとわかりませんが、盛岡のカフェ&ステージ付きの実験店舗が大コケしましたし、親会社WonderGOOですら店舗減らしていますし、もう「貧すれば鈍する」状態なのではないかと思います。正直、割と本気でいつ死んでもおかしくないのではないかと、ドキドキしながら見ています。
結論としてはやっぱり「新星堂が一番やべえ」といういつもの感じで終了です。