音源やMVにCMを入れること

ベボガ!37社のCM入り“コマーシャルMV”公開、ぺろりん先生は水着姿で登場

音楽と広告の話。
このMVの監督は、以前にネットでバズった「配下にするなら石田三成」を作った人だと知って激しく膝を打ったのですが、それを踏まえて考えてもこういうクリエイティブでMVを作ることを前提でクラウドファウンディングを「仕掛けた」としか思えないわけで。

映画の場合、ハリウッド制作のなんかは中国で受けることを意識してスポンサードはおろか設定やストーリーまでそっちに寄せたりもするわけで、国内でも「TIGER & BUNNY」というわかりやすい先例があったりするものの、考えてみればポピュラー音楽の世界ではタイアップ的楽曲はあっても、直接的にクリエイティブにまでスポンサーが入り込んだことはほとんどなく。

過去の事例で有名なのは80年代UKにおける最強の一発屋と呼んでいいでしょう、Sigue Sigue Sputnikが1986年リリースのアルバムの曲間にCMを入れたという事例。コマーシャリズムも度を越すと逆にパンクというか、SEX PISTOLSが再結成した際に「金のためだ」と言い切ったのにも近い感触はあるのですが、それでもやっぱり「無茶なことしやがるな」感は当時も今も変わりません。

国内では松任谷由実が2010年、映画の主題歌のシングルCDにその映画のCMをぶち込むという荒技に及んでいます。正隆氏はそれを「20年温めていたアイデア」と言っていましたが、つまりそれ思い付いた時点でSigue Sigue Sputnikよりも遅いわけで、擁護のしようがありません。

あと、Sigue Sigue Sputnikも松任谷由実もそのCMを入れたことで盤の価格が下がるなんてことは一切なかったので、じゃあ何のためのCMだと思わなくもなかったり。

でも本当に思いつくのはそれぐらいで、意外に音楽における広告展開はこれからガンガンやっていける、かっこつけて言えば「ブルーオーシャン」的な領域ではないかとも思うのです。

ライブの開演前5分くらいずっとCMが流れ、出てきたら衣装の胸元と背中に企業ロゴ、1曲終わるたびにまたCMが入り、終演後の物販のTシャツにも企業ロゴ、2ショットチェキを撮ったらその裏にも広告みたいなアイドルグループがいたとしたら、それはそれで音楽性以外で圧倒的な差別化が図れると思うのですよ。

ここまで書いたところで、特定企業にスポンサードされていたアイドルグループを思い出した。現lyrical school、元tengal6。どういう形であれ、その後広くメジャーで活動を目指す場合、どんな企業にスポンサードされるべきかというのはとても大事だと思いました。