The Divine Comedy「Foreverland」のこと

The Divine Comedy / Foreverland (album)

私の好きな彼が完全復活です。
私は1994年に就職のために東京に出てまいりまして、そりゃ東京中の中古レコ屋輸入レコ屋掘っくり返しまくりの週末を過ごしていたわけですが、確かまだ1階にあった頃のWAVEで入手して大傑作だとテンション上がりまくったのがThe Divine Comedyの2ndアルバム"Promenade"でした。
マイケル・ナイマン大好きなことが丸わかりながら、それでも己のポップネスにガッツリ落とし込んだ職人の巧。中でも収録曲"Tonight We Fly"は、今考えても自分が聴いてきた中のポップソングの最高峰のひとつ、およそ完璧な詞・曲・アレンジの三位一体っぷり。今でも本当に大好きです。

そして、1996年の春に3泊でロンドンに行ったのですが、ちょうどそのタイミングで彼のロンドンでのライブがあると現地で知り、すごい勢いでチケット取ってKing's Cross駅近くの古い劇場を改装したライブハウスに赴いたわけです。
詰めても200人入るかどうかの小さな箱、それでも満員ではなかったのですが、でもニールは上機嫌で「初めてのロンドンでのワンマンなんだよ」と本当に嬉しそうにやっていて。
その数か月後に、アルバム"Casanova"で全英ブレイクを果たすことは全くその時には知る由もなく。

ブレイク以降、メジャーに移籍してフルオケをバックにしたり、ナイジェル・ゴッドリッチをプロデュースに迎えたり、お金をかけられるところに突っ込んでいって、それはそれで高品質な音ではあったのだけど、でもやっぱりどんどん音楽としては難解な方向に進んでいって、単純にチェンバーポップとして気持ちいいよね、というところから離れていって。

セールスも順調に下がっていって結局メジャーから離れ、改めて自分のレーベルから出した前作は、今一度自分の立ち位置を踏まえた佳作だったのですが、更にそれを踏まえての今回。
"Tonight We Fly"のような一聴してわかるレベルの名曲はないです。それでも改めて職人の巧をアルバム通して感じられる素晴らしいアルバムであり。粋とユーモアの塊のような、やっぱり彼の音が大好きなんだと感じさせてくれるアルバムです。

彼史上最強楽曲。2ndとベスト盤に収録。