BOYS AND MENのリリース状況のこと

「ベストヒット歌謡祭」にKinKi、三代目、乃木坂、ボイメン、星野源ら19組

BOYS AND MENの出演は快挙、と言っていいのか。
地方の事務所所属のボーイズアイドルグループが、キー局のゴールデンタイムの特番にジャニーズ勢と並んで出演する。正直、こういう状況を私は過去に見たことがありません。
日本テレビは、嵐の桜井くんがNEWS ZEROとかKAT-TUNの亀梨くんがGoing!とか、ジャニーズの中でも元々ジュリー派との結びつきが強いにもかかわらず、今回の出演は社長直轄のKinKiと元飯島派のキスマイということで、また日テレの直制作ではなく大阪のよみうりテレビがメイン制作ということもあってそこらへんが落としどころだったのではとも思いますが、それでも少なくとも局側の意向が強く出ない限り日テレ系列でこんなキャスティングにはなりません。

今回改めてBOYS AND MENが地元である程度人気が固まってからの持っていき方を詳細に見てみると、相当地道にしたたかであることがわかります。以下、BOYS AND MENと派生ユニットYankee5と誠によるリリース一覧。Fortuneというのは事務所が持っている自社レーベルです。

2012/02:バリバリ☆ヤンキーロード(シングル)<Fortune>
2012/07:変わらないStory/READY×READY!(シングル)<Fortune>
2013/05:ヤンキー★ロード(アルバム)<Fortune>
2013/12:グランスピアーのテーマ(シングル)<Fortune>
2013/12:幸せの種/My Only Christmas Wish(シングル)<Fortune>
2014/01:RETURNER(シングル)<Fortune>
2014/02:チョコレートプリンス(シングル)<Fortune>
2014/05:シャウッティーナ/Lovely Monster(シングル)<Fortune>
2014/07:常夏オーライ!!!(シングル)<Fortune>
2014/11:グッジョブ! ムチューマン/未完成パズル。(シングル)<Fortune>
2015/03:ボイメン体操(シングル)<Fortune>
2015/04:零/Fanfare(シングル)<Fortune>
2015/05:ARC of Smile!(シングル)<マーベラス>
2015/07:stand hard! -オレらの憧れ竜戦士-(シングル)<Fortune>
2015/07:お願いよ!Oh Summer!(シングル)<Fortune>
2016/01:BOYMEN NINJA(シングル)<Fortune/ユニバーサル(流通)>
2016/02:Wanna Be!(シングル)<キングレコード>
2016/06:Cheer up!(アルバム)<キングレコード>
2016/08:YAMATO☆Dancing(シングル)<ユニバーサル>

※DVDは過去17本リリース、原則Fortuneの中2本だけポニーキャニオンからリリース。

つまり自分のところでリリース機能は持ちながら、それなりに力が付いてきたところでワンショットの契約でメジャーレーベル数社の味見をしながら条件のよいところを探し出し、今回8月のシングルから「専属契約」としてユニバーサル(レーベルはVirgin)と手を組んだ形。
その8月のシングルはメディア露出が厳しい中で結果として21万枚の売り上げを叩き出し、そうなると今回の歌謡祭出演はユニバーサル側からの強い意向もあったことが推測できます。

今の世の中それなりに人気があれば自社制作で流通だけ委託していた方が、メジャーより直接的な実入りは大きいはず。それでも今回メジャーのユニバーサルと組んだということは、即ち事務所は今後の更なる拡大のためにレーベルのメディアへの影響力を重視したと考えられるし、ユニバーサル側も今以上のポテンシャルを見込んでいると考えられるわけです。

一方この歌謡祭の出場者、けっこう出演者の所属レーベルが偏っています。だいたいソニーかエイベックス。

ソニー系:
いきものがかり、欅坂46、西野カナ、乃木坂46、平井堅

エイベックス系:
E-girls、Kis-My-Ft2、三代目 J Soul Brothers、GENERATIONS、林部智史、ピコ太郎

キングレコード:AKB48
よしもとR&C:NMB48
ワーナー:きゃりーぱみゅぱみゅ
ジャニーズ:KinKi Kids
ユニバーサル:BOYS AND MEN
ビクター:家入レオ、星野源
セーニャ:ゆず

林部智史は他のレーベルメイトに帯同する形であることがある程度推測できます。が、ユニバーサル勢はボイメン以外におらず、これは何だと一瞬思ったのですが、考えてみればもっとでかい話だ。

宇多田ヒカルが本格復活する時、まずリリースした2曲のうち1曲のタイアップは「何故そこか」とみんな思った日テレのNEWS ZEROのエンディングでした。相当にでかいタイアップです、宇多田はEMI所属でEMIは現在ユニバーサル傘下ですから、現段階で日テレとユニバーサルの間に、1番組単位ではないレベルの結びつきがあると考えても不自然ではありません。

そもそもK-POPの爆発期、韓国だけにジャニーズが文句言いにくいのをいいことに男女問わず各種グループを日本市場にぶっこんでいったのもユニバーサルが最初でした。一方ジャニーズは利益率最大化のためにSMAP(ビクター)、V6、タキ翼、キスマイ(avex)、Sexy Zone、A.B.C-Z(ポニーキャニオン)以外は自社レーベルに放り込んでしまっていますので、レーベル統制という方向での影響力は現状では限定的。

そして今回の日テレはレーベル側との関係性が勝ち、その結果ジャニーズ勢は形こそ出演するものの、ジュリー派は少なくともこの番組からは完全に手を引いた。

という感じで推測に推測を重ねて、自分では何となく合点がいった気になっています。

ここんところ、スターダストのEBiDANを皮切りに、新たなボーイズグループの立ち上げが目立っていますが、条件次第でこれまでのいろんな障壁が弱まり、大きくなってもそれなりに動けるということになれば、他の事務所でもボーイズグループ立ち上げの動きは活発化するでしょうし、そうなると既存メディアには強くなくてもレーベル経由で力を及ぼせるところ、現場の取り回しに長けているところ、ネットでの集客に優れたところ等、それぞれの打ち出しでそれぞれの伸ばし方をしてくるかもしれません。
そしてそうなった場合に相対的にジャニーズがどうなっていくのか、とか、いろいろと今後を観察するにあたってのおもしろポイント満載です。俺の。